あー面白かった。読後、素直にそう思える作品に出会えることはこのうえない喜びだ。
カクヨムでレビューを書いていて、常にどこをどう人にオススメすればいいかということを考えるようにしていたのだが、珍しく何も考えずにただただその面白さだけで読み終えてしまった。もう一度言おう。あー面白かった。
物語として非常にテンポが良く、可笑しさを演出するシーンにこそっと伏線を紛れ込ませたり、構成の無駄のなさが凄まじい。ポイント、として要点をまとめてくれているところも実はすごく読みやすくて、ミステリー初心者への徹底した配慮が見て取れた。
ポンコツ探偵&刑事たちvs謎のポンコツ怪盗という構図を約1日の内に収めていることもあるだろうが、それを差し引いても非常にコンパクトにまとまっているあたり、プロットの美しさを感じられるのでとっても素敵。
だというのに、非常に濃密な物語に感じた理由としては、やはり生き生きとしたキャラクターたちが繰り広げるドタバタ会話劇が挙げられるだろうか。
読んでいて、何度「しっかりしてくださいよ!」とツッコミを入れたかわからない。笑いのポイントはシュールさから天丼の可笑しさなど多岐に渡っておさえられており、そのセンスにただただ脱帽である。
もしも。もしも、この作品に続編があれば私は一も二もなく飛びつくだろう。そう思わせるだけの名作。
ミステリーのカテゴリで、人が死んだり傷ついたりするお話に疲れたときは探偵・椎名なのかを思い出して欲しい。
間違いなく、そのときばかりは、最大限にいい仕事をしてくれるはずだ。
探偵と怪盗が出会ったとき、事件が始まる――ただしどちらもポンコツだがな!
古きよき(?)探偵vs怪盗譚を下敷きにしたコメディ。
たった一日のできごとを、事件のあらましから解決まで丁寧な筆致で描いている……
にも関わらず、登場人物たちの掛け合いはテンポ良く小気味よい。
すべてを迷宮入りさせる自称美少女探偵は謎を解けるのか?
何が罠で何が罠じゃないのか?
はたして怪盗ストライダーはイケメンなのか?
ストライダーが「怪盗」すぎて笑いました。これはずるい。
きっと「怪盗」が好きな人ならわかってくれることでしょう。
もしくは何だかむずがゆいような気分になるかのどちらかでしょう。
私は笑いました。その感性は嫌いじゃない。
ちりばめられたネーミングセンスも結構そのまんますぎて好みです。
うわあああああ面白かった!!
なのかちゃん可愛い! なのかちゃん可愛い!
大事なことなので二回(以下略)
内容自体は、ミステリというジャンル内でもキャラミス、あるいはむしろコメディに近い部類の作品ではあるのですが、もうそんな細かいカテゴライズはどうでもいいと思います(おぃ)。
とにかく、主人公である美少女探偵(自称)の椎名なのかが壮絶に可愛らしいのです。
イケメン好きで明後日の方向に自意識過剰気味、的外れな推理ばかり言い放つくせして、無根拠な謎の自信に溢れ、一目で他人の性癖を見抜いてしまう(!?)お調子者の女の子――
そんな俗物感満点の残念ヒロイン、私は一読してすっかり心を奪われてしまいました。
ああ、これぞキャラクター小説、まさにライトノベルの醍醐味でしょう!
さあ、貴方も私と共に、椎名なのかファンになりませんか?