寝る前に思い出しても全然平気な類のホラーでもあります。
もう、とにかく読んでいて楽しかったです。
本編の感想を述べると全部ツッコミになってしまい、ひいてはネタバレ?になってしまうのでもどかしい。ひとつ言うとすれば、「寺生まれのTさん」ってこの一族なんじゃないだろか。
自分はこの作品のタグに惹かれて読んだクチなのですが、気になった人はまずそちらを見てみてください。
その時点で思わずツッコミの浮かんだ人はぜひ本編を読んでみましょう。そんなあなたの気質を満足させる怒涛のツッコミポイントが始終に散りばめられています。
二重の意味で「おかしな」お盆の風景を、心から楽しんでみませんか。
墓参りとお盆にまつわるちょっと季節外れのホラーに見せかけたコメディ。
考えるな感じろ。
小説だからこそできるコメディでした。
優雅で一見正統派の文体ですし、冒頭もよくホラーものの舞台になる『日本の片隅の古い因習の残る集落』みたいな始まりですので、これからどんなおぞましいホラーが始まるのか、と思いきや、読み進めていけば「これはひどいいいぞもっとやれ」なのが伝わってくると思います。この家のお盆は何かおかしい……しみじみでもほのぼのでもない謎のお盆をやっている……というかまず「お盆過ぎたよおめでとうの宴」って何だ……!? この家系は全員こんな感じで(ネタバレのため割愛)に見舞われているのか……!?
妙にリアリティのある内容ですので、作者様ご自身が似た体験をしているのではないかと思わされました。すごい……謎の生々しさ……普通に考えたらないでしょうに……すごい……。
陽一さんの()の中身が増えていくのもじわじわ来ます。細かいところにこだわった作品でした。一から十まで楽しめた!
これからくる夏に思いを馳せて。今年の夏も雅さんは忙しいんだろうなぁ、いろんな意味で……。