第2話 ストーカーって何?

 <前回のあらすじ>

 ストーカーにストーカーと間違われて、ストーカーのオファーを受けました。


***


「ですから、一緒にストーカーをしましょう。レッツストーカー☆」

「いやいやいやいや」


 仕事でストーカーをするというのは、一体どういうことなのだろう。というか、ストーカーしようというワードが可笑しすぎる。


「一体、仕事でストーカーって何なんですか。絶対法律にひっかかる行為してるでしょ」

「いえいえ、滅相もございません。だって、うちは、をするのですから。了承を得ているのでなんの心配もありませんよ」

「えーと。要するに、ストーカーをして下さいと頼む人が居るということですか?」

「はい。その通り! 流石、呑み込みが早い!」


 そのような人が居るとは、日本人恐るべし。いや。鵜呑みにするな。こんな、怪しいストーカー男を信じてはならないだろ。大体、ストーカーをしてもらいたいって、どういう心境なのだ。想像もつかない。


 うん? 了承を得て、ストーカー?


「ちょっと待て。あんたは、了承を得てストーカーをすると言ったな」

「ええ、その通りです」

「じゃあ、何で俺をストーカーしたんだよ! 了承してねえぞ」

「だから言ったじゃないですか。私はストーカーではなく、尾行をしたのですよ」


 ううん? 尾行なの? ストーカーなの? もうどっちなんだよっていうか、どっちも一緒なんだよ!


「確かに、私はあなたに了承を得ず、尾行していました。それはよろしくないことかもしれません。ですが、とりあえず今は置いておきましょう」


 置かないでください! そこ一番重要なところです!


「俺、用事あるんで、帰ります!」


 もう面倒だ。こんな奴と戯れる時間があったら、俺はその時間をゲームのために費やしたいのだ!

 俺は、追川という男に背を向けて、一刻も早く離れようとする。


「分かりました。無理にとはいいません」


ストーカー、いや、尾行をするくらいだから、しつこく付きまとうかと思いきや、意外とあっさりと諦めるような声が飛んでくる。

 はあ、これで一件落着だ。早く帰ろ......


「うちは、自給2000円なんだけどね。コンビニの2倍以上なんだけどな」


 後ろから飛んできたそんな声に、背中が少し引っ張られるような感覚を覚えた。いくら、引き篭もりの俺とはいえ、収入が無いというのには、そろそろ限界を感じていた。直にアルバイトをしようとは考えていたのだ。

 自給2000円? なかなか無い好条件だ。だって、コンビニで働いてた時の2分の1働けば充分ってことだろ? 残りは、家でゲームしてていいってことだろ?


 うん、悪くない。


 いやいや、悪いに決まってるだろ。怪しい仕事内容で、自給が高いって、もうアウトだよ。アウト。冷静になるんだ。的内光。


 俺は引っ張られつつも、必死に前に進んだ。こんなんに負けてたまるか。


「美人な秘書が君に会いたがってたんだけどなー」


 俺は、足を止めた。


「くびれがキュッと引き締まって、本当に美しいんだよな」

「ふっ」


 思わず鼻で笑ってしまった。いくら、俺が、美人が好きだからって、くびれが好きだからって、そんなことでね、ついて行ったりなんかね..................................................するに決まっているでしょ!!


「仕方ねえな。話だけなら、聞いてやってもいいですよん!」


 なんだよ、そういうことなら早く言ってくれればいいのに。追川さんは、じらすのがお上手ですな。


 というわけで、俺、的内光は、追川何でも屋(ストーカー専門)という事務所へ、くびれ美人と会うため......いや、仕事の話を聞くために向かうこととなった。



<次回予告>

 くびれがあれば、何でもいいか。

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俺、ストーカーやってます。 のんぺん @h21144

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