大岡昇平の「野火」も武田泰淳の「ひかりごけ」も野上弥生子の「海神丸」も、全て軽やかに飛び越えて口の中一杯の「旨み」だけを伝えてくれる文章。うまいです。
ネタバレを含みます。閲覧にはご注意ください。食事関係の描写が上手い小説かと思いました。しかし、最終的にはそこではなく、というのがとても面白い終わりでした。しかも、主人公がそれを良しとするとは。一見それが普通とはあまり思わないかもしれないけれど、というところを表現した小説のように思いました。