設定・用語
『固有名称』
・大地(ミッドガル)
300年前の大災害によって生活の困難になった、今では人類の住めぬ土地となった地表の総称。かつてはたくさんの国と優れた文明技術が存在した。その失われた文明技術を発掘することを目的に、浮遊大陸から地上に降りてくる者は少なくない。
・暗雲(クラウド)
300年前の大災害以降、地上3500メートルに出現し、太陽の光を遮断した地球全体を覆う雲で、現在は強力なプラズマの嵐が常に内側で吹き荒れているため、エネルギーシールドを装備した航空艇なしでは突破することができない。暗雲の出現により、人類は地上での生活を捨てることを余儀なくされた。現在もその発生原因は解明されておらず、一概に境界線の影響と言わざるを得ず、現状で雲を消す手段はない。
・空界(シェルプレーヌ)
暗雲の上に広がる世界を指す言葉で、浮遊大陸によって人類が生存することのできる場所。負素を無効化する粒子、響素が満ちており、現在の文明技術はこの響素の満ちる空界で発展し、今日の人類を支えている。
・境界線(ホライズン)
現世とは異なる世界と通じる門と言われている。
境界線は不定期に世界の各所に出現し、最短で一〇分前後。最長では二週間近く開き続け、その間地表に大量の負素を撒き散らし、生態系を破壊し続けている。目下その仕組みは解明されていないが、響素が多く存在する暗雲の上には出現しないことが解明されている。
・浮遊大陸(アーク)
雲に覆われ、地上での生活が困難になった人類が作り上げた無数に存在する浮遊都市。
その多くが鋼鉄と機械と蒸気機関の組み合わせであるが、動力はLT製の機関であり、同様のものを作り上げる技術は現代の人間にはない。
・空海
暗雲の上に広がる空を指す言葉。広がる空をかつて大地に広がっていた広大な海に見立てて、現在は航空船を利用して空を渡り、他の浮遊大陸を行き交いすることから空の海と呼ぶ。
・空禍(エイドン)
境界線からこの世界にやって来たプラズマの海の中から姿を現す特殊な禍獣で、空を飛び、時折空海に姿を現しては飛行艇や飛艇地を襲う人類の天敵。
・響素(ヒース)
大気中に存在する特殊な元素であり、大災害以降世界に発生した粒子物質とされている。
人間の指向性を持った意識などに呼応して特殊現象を引き起こす。現在の技術において、必要不可欠な素子でもある。また、負素を相殺する唯一の物質で、これにより空界は負素の影響を受けずにいられている。
・負素(ギフト)
大災害以降発生した時空断裂現象――境界線によって世界に蔓延した新たな元素であり、粒子物質の一つで、人類が地上での生活を断念する要因となった。
動植物のほとんどが負素の影響を受けて突然変異し、その多くが人類へ多大な被害を齎し、人口の低下を加速させた。また、人類もまた長期間負素に晒されていると遺伝子構造が変異し、異形の人種――ユミルの民へと変わってしまう。
大災害を齎した隕石に含まれているとも、第三次世界大戦と大災害による環境変化がもたらした物とも言われている。
・ヴァルハラの楔槍(ヴァルハラの――やり)
大災害を引き起こした隕石の名称。
当時のアメリカ航空宇宙局ですら探知することすらできぬうちに地球へ接近し落下したことを踏まえて、当時の人間は宇宙からではない別の次元から突如出現したのではないかという推論を建てた。
その後、実際は境界線の向こうから放たれた侵略攻撃の一種であることが判明しており、現在も各地に境界線が生じるのは、このヴァルハラの楔槍による影響であると云われている。
なお、ヴァルハラの楔槍の周囲は高濃度の負素が蔓延しており、現在の技術では楔槍に近づくことは不可能。そのため、未だその正体の解明には至っていない。
『技術』
・響律式(コード)
これを扱える者を響律使と呼ぶ。
元々指向性を持った意識に呼応する響素の特性を利用し、響素を媒体にして特殊現象を引き起こすことに成功した技術の総称。現在ではあらゆる文明技術の基盤として世界に根付いている。
また、響律式にはそれぞれカテゴリが存在し、現在は、操作系・干渉系・生成系の三分類。
・燃焼操作響律式(クラフト・コード)
操作系響律式の一つで、主に高温熱源や酸素を操り、炎や爆炎を発生させる。
・熱量操作響律式(マクスウェル・コード)
操作系響律式の一つで、大気中の熱量を奪ったり、分子運動を操り、氷や凍結現象を発生させる。
・電磁操作響律式(オイゲン・コード)
操作系響律式の一つで、イオンや分子運動に干渉し、電子運動を誘発させ電気を発生させる。
・運動操作響律式(ラグランジュ・コード)
操作系響律式の一つで、運動エネルギーに干渉することができる。
・錬金生成響律式(アルケミー・コード)
生成系響律式の一つで、大気中の元素に干渉したり、微粒子レベルの塵を操ったりし、物質を生成する。
・力場干渉響律式(スカラー・コード)
干渉系響律式の一つで、響素を利用して特定の力場を形成することが可能。
・空間干渉響律式(アインシュタイン・コード)
干渉系響律式の一つで、一定の空間そのものに直接干渉することを可能とする。
・神律印(ルーン)
響律式と似て非なる異能の証明。
所有者は体の何処かに刻印が浮かんでいる。響律式とは異なり、不特定多数の人間が扱うことはできず、保有者専用の力であることから唯一響律式(オリジン・コード)とも呼ばれ、その希少性から付け狙われることは少なくなく、保有者は総じて秘匿している。
・戦響技(アーツ)
響素の『指向性を持った意識に呼応する』性質を応用し、武術と組み合わせることで生み出された戦闘技術の一つ。
数万、数十万と繰り返された動作が『指向性を持つ意識』と同等の意味合いを持つことにより、響素を操り強力な『技』として確立する。
・マクアフティル流
現在まで伝承され続けている戦響技の流派の一つで、刀を主とする刀術の系譜。
ノクトやその師であるシエルの流派。
落葉(ラクヨウ)
無数に舞い落ちる葉を正確に打ち抜くように素早い斬撃を放つ技。
林刃(リンジン)
落葉の上位。撃ち出した無数の斬撃を響素変異で切断力場へ変え、前方に林立させる秘技。
疾葬(シッソウ)
超神速の踏込みから繰り出される神速の居合切り。
白雷(ビャクライ)
上段からの切り下しの際、刀身に響素を纏わせ電磁操作し、圧縮した雷柱を落とす秘技。
・指揮甲(コンダクター)
響素を媒体に発動する技術、響律式を操るための装置。
主に手甲の形状を取り、手の甲部分に中枢機構となる《指揮核(タクト)》にプログラムされた術式――《響律譜(スコア)》に反応して術を発動する。
・響律武装(コード・ウェポン)
通常の武器に指揮甲に似た機工を加えることで、大気中の響素を帯びることで性能を高める武器。響律式のような持ち主の『指向性のある意識』は必要なく、武装それぞれに応じた用途を行えば自動で発動するように設定されている。
上位種として、響律兵器(コード・アーム)が存在し、これらの多くは各国の軍事飛空艇などに搭載されている。
・飛空艇(スカイシップ)
響律式を動力とした、空海を渡り、飛艇地と飛艇地を行き来するための空を飛ぶ乗り物。
規模にもよるが、大勢の人間を乗せて空を飛ぶためかなりの大きさをしている。国直属のものを始め、企業や個人で所有することもある。また、飛空艇と騎竜艇の間の大きさの飛空艇のことを飛行船(カーゴシップ)と呼ぶ。
――【ヴリュンヒルデ】
エル率いる第二飛行艇団専用の軍事飛行艇。機動力を重視して造られており、また対空禍との戦闘を始め、あらゆる戦闘に対応できる万能型の最新鋭機体の一機。
機体名の由来は伝説に存在する『翠風の戦乙女』。
――【バ・ヴェル】
真紅に彩られた船で、空賊ザブリュッドが乗る大型の高速飛行艇。
非常に堅牢な造りをしており、並みの空禍程度では傷一つつけることができない強固さを持つ。
機体名の由来は古の時代に建てられながら神の怒りに触れ、倒壊した『バベルの塔』。
――【ヴラドスキルニル】
帝国が所有する戦艦の中でも最大規模の船であり、世界で最も巨大な戦艦と知られている。『帝国最強の盾』の異名を取る。
それ一つが巨大な要塞と言える大きさと強固さを持つ。
機体名の由来は黄金に輝き空を自在に舞う帆船。
・騎竜艇(ドラグーン)
窮騎たちが空中を駆るために乗る特殊な小型飛空艇で、戦闘も行える騎乗兵器。そのシルエットが翼を持つ竜に似ていることからそう名付けられた。
イメージとしては、オートバイに車輪がなく、代わりに左右に大きな翼を備えたもの。
――【リンドブルム】
現在王国を始め、世界全体で普及している標準騎竜艇。
――【ファーヴニル】
ノクトこと、通称黒騎士が駆る専用の騎竜艇で、独自改造が施されたオリジナルの一機。
漆黒に彩られた特殊な外装で、『黒竜』の別称を持つ。全体的に性能が他の騎竜艇に比べてはるかに高く、特に飛行速度は現存する騎竜艇の中でも随一。エンジン部分に特殊な推進装置が施されており、起動すると爆発的に速度が上昇する。
ノクトの指揮甲とリンクしており、近距離なら遠隔操作ができる。
――【グングニル】
漆黒の機体に金で縁取られた意匠を持つ、現在の騎竜艇技術の粋を集めた最新鋭の騎竜艇。
その性能は【ファーヴニル】を大きく上回り、特に飛行速度はその名に相応しい世界最高速の機体。【ファーヴニル】同様かつ改良された推進装置が搭載されている。
すべてを貫く槍の名を冠している。
――【レーヴァティン】
オリジナル騎竜艇。
通常の騎竜艇のような翼を広げた竜のシルエットとは異なり、巨大な一本の剣のような形をしているのが特徴。
その外見通り、機体全体に端刃加工が施されていて、接触するだけで相手を傷つけることができる。
終焉を齎す剣の名を冠している。
――【ガルーダ】
鳥のような巨大な翼が特徴の騎竜艇。
長距離移動を主な目的として造られた機体。空中近距離戦闘向きではなく、どちらかといえば後方支援機。
不死を獲得した神鳥の名を冠している。
――【アルスヴィズ】
全体的に機体性能が高く、安定した飛行ができる騎竜艇。速度に優れており、主に競技用に用いられることが多い。
「快速」の意を持つ空駆ける馬の名を冠している。
・虹輝の障壁(ビフレスト)
飛行艇や騎竜艇に搭載されている、暗雲の中で生じている高熱プラズマの海を突き抜けるための防護障壁。ビフレストを展開することなく暗雲を抜けることは現状不可能であり、現在空を飛ぶ乗り物のすべてに搭載されている装備。
・LT(ロストテクノロジー)
大災害より以前に普及・あるいは開発されていた、高度な文明技術によって造られた道具や技術付けられた通称。
大災害寸前に繰り広げられていた第三次大戦に用いられた兵器もこれに含まれている。
・《遺神具(アーティファクト)》
一時期はLT兵器(ロストテクノロジー・アームズ)と呼ばれていたが、LTの分別化に伴い《遺神具》が現在では正式名称として広まっている。
第三次世界大戦の以前から最中に造られた、当時における技術の結晶であり、現代に受け継がれた武装兵器の総称。その多くが伝記や神話に登場する神や武器の名を冠していることが特徴。
―スルト―【Surtr】
再生の滅炎。指輪の形をしたアーティファクト。所有者の意思に呼応し、癒すことも、焼き尽くすことも可能な炎を生み出す。終焉に導いた巨人の名を冠する。
―リジル―【Ridill】
不滅の存在。脈動する心臓の形をしたアーティファクト。かつて竜の心臓を切り取った短剣の名を冠する。所有者に竜の力を与えるという。
―クサナギ―【Ksanagi】
旧アジア東の島国、日本で生み出された兵器。六本の長剣の形をしている。かつて失われたと言われる三種の神器の一つの名を冠している。
『歴史』
・大災害(ギンヌンガ・ガップ)
第三次世界大戦時に生じた核弾頭の相互衝突による巨大な爆発で生じた次元断裂からヴァルハラの楔槍が撃ち込まれ、以降様々な災厄に見舞われ、地上を捨てることとなった契機。
楔槍が撃ち込まれて以降、その影響で環境変化が広がり、磁場の変化によって上空に暗雲が発生。
地上を絶え間ない冷気が襲い、隕石から噴き出た負素という粒子が蔓延。動植物の多くが凶暴化したため、人類は暗雲より上の空へ逃げる以外生きるすべを失った。
・第三次世界大戦
大災害の二週間ほど前に起きた、地球上にあった大国たちが繰り広げた史上最悪の戦争。核戦争に発展する寸前に大災害が起きたため、最悪の事態は逃れたが、犠牲者の数は当時の世界人口三割にも上ったという。
『国家』
・ユグド王国
三大国家の一つ。王政によって治められている巨大な飛艇地を持つ国。元のヨーロッパ圏上空に存在する。
・ヤマト領国
三大国家の一つ。小さな飛艇地が幾つも寄り集まりで、それぞれの飛艇地を領主たちが管理している。元のアジア圏上空に存在する。
・ウトガルズ帝国
三大国家の一つ。20年ほど前から他国との交流を拒み、現在は完全な鎖国状態にあるが、最も技術の進んだ国とも言われている。元のアメリカ圏上空に存在する。
『組織』
・穹騎(ヴァルキート)
公国や領国の下で発展した武装組織で、騎竜艇に乗って空を駆り、空禍と戦う者たち。地方によって呼び名が異なる。
・シュヴァリエ
代表:エル=アウンドルム・ユグド(第二師団団長)
グレイアース=ヴェル・ブレードエッジ(第一師団長)
王国騎士団=王家直属の飛行艇団のことを指す言葉で、現在では騎士および騎士団の総称となっている。全部で七つの師団が存在する。
・ロイヤルガード
騎士団長:アイザック・ゼクスレン
エヴァニス・サンクルシア
ユグド王国の王家警護騎士団の別称だが、昨今ではこちらの名のほうが通じている。
・自由騎士(ロードナイト)
遊撃騎士とも呼ぶ。騎士の中でも自由な行動が許された特殊な騎士で、主に王直属の私兵とされる。地位は百人隊長級で、主に王族の勅命でのみ動く。数が少なく、その正体を知るのは王族を除くと一部の上位騎士のみ。
・自由傭兵(フリーランス)
様々な仕事を報酬次第で請け負う者たちの総称。
大地におりて遺品発掘(サルベージ)することもあれば、領地などに被害を齎す空禍と戦うこともある。
基本的に国からの援助や保護などがなく、また受けることもできない。
・認可傭兵(アプローヴ)
身分の保証や国の保護がない自由傭兵と異なり、国や領地などと契約を交わすことにより、それぞれの組織の組織員として組み込まれる傭兵のこと。安定した報酬を始め、国からの援助や保護を受けることができる。
当然ながらそれに見合った実力が求められるため、並みの傭兵では認可傭兵になる古都は難しい。
・廃掘者(サバイバー)
暗雲の底に広がる大地へ赴き、今も眠り続けるLTの品を探し出して一攫千金を目指す探索者たちの総称。
当然ながら一概に一攫千金を目指す探索者というわけではなく、国の意向で廃掘専門の部隊などが存在しているし、現在軍部の多くも廃掘を目的とした作戦を行っていることは少なくない。
・『イヴァルティの鎚』
責任者:ゴルベール=イヴァルティ・カルロン
騎竜艇開発の大手で、現在公的な騎竜艇のほとんどが此処で作られている。
元々は対空禍用の兵器開発を主に受注・開発を行っていた。
弟子のひとりであり、後継者候補であったアクルス・シトルイユは仲たがいの末に離反。現在は独立して個人的な騎竜艇技師となっている。
・空賊(くうぞく)
特定の地に定住せず、個々で保有している飛行艇で空海を漂い、己の矜持と誇りで生きる者たちの総称。中には犯罪まがいのことをする者たちも少なくなく、各国の治安組織とは折り合いが悪い。
――ザブリュッド
首魁:麗愛
妖女の異名を取る年齢不詳の少女、麗愛(レア)を首魁とし、『大樹の葉』と敵対する組織集団。悪徳な金持ちや私腹を肥やす貴族を標的とする義賊として知られている。巨大な航空艇を所有しており、それを拠点に空海を漂っている。
・【大樹の実り(ユグドラーシェル)】
秘密組織。世界の再生を最終目標と謳っている。しかしその裏では非合法の方法で様々な悪事にも手を染めており、目的の為ならば手段を択ばない過激派。
お目汚し、失礼。
黄昏の果ての再誕叙事詩 白雨 蒼 @Aoi_Shirasame
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