デビルナイツ 影雲の章

辰 勇樹

第0話 「はじまりの詩」

 むかしむかし、あるところに、人間と悪魔の暮らすおおきな国がありました。

 その国はもともと人間の土地にありましたが、人間は路頭に迷った悪魔を救い、この国を「ライディングの都」と名付けました。

 そして、やがてある大陸から、大魔法使いと呼ばれたガルゴという男と、占い師のミエルがやってきて、占いの結果を国王であるグラドに伝えました。

 その内容はこんなものでした。悪魔はやがて人間を滅ぼし、この土地を奪うつもりでいる、と。

 それを聞いた国王グラドは、その占いの結果を信じて、悪魔を皆殺しにしました。それはのちに「悪魔戦争」と呼ばれる戦争の根源となるのでした。


__上巻、おしまい


 そう、これは悪魔ならだれもが知っている昔話であり、実際にあった話だという。だがこの下巻の内容を知る者はいない。おそらく、いない。

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