まどろみに見た夢
午後のまどろみに見る夢は
ゴンドラに乗った少年の頬
時計塔が昼の鐘をならすと
花屋の店先から鳩が飛んだ
水路を行き交うゴンドラと
薄い水色の空に浮かぶ雲は
同じリズムでゆっくり流れ
時計を忘れた僕は安心する
広場を抜けて市場を歩いて
果実と野菜のまぶしい色と
誰かを呼ぶ声と人の賑わい
今この時の生きている実感
喧騒と雑踏に揉まれ右と左
思いつきで路地を折れれば
自転車がビュンと追い越し
丘の向こうへと駆けあがる
南風と若草色の新しい季節
柔らかな花々と新緑の空気
遠くそびえる険しい山々も
陽光にその白銀を輝かせる
ふわふわの下草に寝転ぶと
まるで生まれ変わった感覚
空は青くまあるく広がって
泣きたい気分で少し眠った
午後のまどろみに見る夢は
ゴンドラに乗った少年の夢
時計塔が午後の鐘をならし
今日の昼寝はもうおしまい
言葉の実験ノート あいはらまひろ @mahiro_aihara
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。言葉の実験ノートの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます