掌編 死の報い

ガジュマル

第1話

 

 震えているのですか?

 十五人もの無差別殺人を犯したあなたが?

 あぁ、私としたことが目隠しをとるのを忘れていました。

 大丈夫です。

 どうぞ目を開けてください。

 天井が鏡張りになっています。

 わかりますね?

 ご覧のとおり、あなたは今手術室の中で拘束されています。

 私は医師なんですが、もう一つの職業を代々生業にしていましてね。

 今回はあなたが殺害された遺族の方々に依頼されました。

 あなたに純粋で最大限の苦痛を与えるのが私の仕事です。

 私の周囲に並べられた術具を見てください!

 先祖から伝わった古めかしいものもありますが、人に苦痛を与える術具としては最高水準に達すると自負している品々です。

 おや、どうされたのですか?

 涙まで流されて……。

 わかりました!

 あなたは死を恐れているのですね?

 安心してください。

 私は医者でもあるのですよ。

 あなたに死が訪れることはありません。

 これからあなたの未来に待ち受けているのは永遠の苦痛です。

 経験上一つだけ間違いないとお約束できることがあります。

 五分後、あなたは死の恐れを乗り越え、死を望むことになるでしょう。

 さあ始めましょうか。



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掌編 死の報い ガジュマル @reni

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