キラーオナホール

ろまえ

死闘

『あっのっころっはっ!!』

 講義の途中だと言うのに和田アキ子のパンチの効いた声が携帯から流れてきた。

 周囲の視線が俺に突き刺さる。マナーにしておかなかったのは俺のせいだが、着信音は妹の悪戯だ。

 ファック、往年のポール・マッカートニーみたいな顔して調子に乗りやがって。後で塩素食わせてやる。

「はいもしもし?」

『結城……今……何を……している……?』

 この声は早坂だ。まあ着信画面に表示されるからそんな事はわかりきっているが。

 なぜか声が途切れ途切れだ。電波が悪いのだろうか。それとも死にかけか。

「今お前と妹と和田アキ子のせいで痛い視線を身体中に浴びてるとこだ。何の用だよ」

『今すぐ家に……こい……時間が……あまり……』

 

 切れてしまった。

 何か死にかけの方みたいな感じだ。この場は居心地が悪いので、俺は講義をぶっちしてとっとと大学を出て、バイクに跨り早坂邸へと向かう事に決める。

 友の危機。アクセルを回す手に、力が入る。

 なんだかよくわからないが、死ぬんじゃないぞ早坂……

 お前の秘蔵二次ロリ動画フォルダが入ったHDDの隠し場所を、俺に教えるまでは――!!

 


「早坂ァ!!」

 マンション五階の角部屋、鍵は開いていた。

 俺はきちんと靴を脱いで早坂聖域サンクチュアリに踏み込み、友の安否を確認する。

 いた。フィギュアとにこにーのポスターが壁一面に貼ってある(前はあずにゃんだった。ミーハー野郎め)気色悪い事この上無い部屋に倒れている。

 腹部からのおびただしい出血が、抱き枕を紅に染めていた。

「来たか、結城……」

 息も絶え絶えに早坂は呟く。

「早坂ッ!! ロリはどこだッ!!」

「まず俺の心配をしろ……ベランダの四角い扇風機みたいなアレの中だ……」

 またすごいところに隠したな。アレ正式名称なんて言うんだっけ。

「ご苦労、貴様にもう用は無い」

「おい待て……俺を見殺しにする気か……」

「見殺しも何も俺に電話する暇あったら救急車呼べよ。ってかもう手遅れっぽいし」

 さらば早坂。お前の事は忘れない。三十分くらいは。

「これを、お前に……」

 そう言って渡したのは、ピンク色をした筒状のプラスチック。

 誰がどう見てもオナホールだった。穴には血がこびり付いている。

「キモッ! グロッ! いるかアホ!! さっさと死ね!!」

 俺は投げつけ返そうとする。と――

 





 ――うね、うね。



 手の中で、『それ』が蠢いた。



「うオオオオオなんじゃァこりゃァァァァァ!!?」


 高校時代130km出た強肩によるクイックスローで投げられたオナホは早坂の顔面を直撃した。

「がはッ……こ、殺す気か……」

「お前はどうでもいいんだよ!! あれ動いたぞ!? 明らかに電動式ではない生物的なそのうねりが手を伝わって全身に悪寒が走った――!!」

「落ち着け結城……喋り方がおかしいぞ……」

「なんだよあれは!?」

「あれは……」

 俺はゴクリと唾を飲む。 

















「『キラーオナホール』だ……!!」







 うねうね。











「あのさ」

「何だ……」

「原理は知らないけどそれって名前から察するにちんこ入れたら食いちぎられる系のトラップ的なアレだよな?」

「そうだ」

「入れたの?」

 頷く早坂。

「ば~~~~~~っかじゃねぇの!?」

 俺は驚きと呆れで声が出なかった。

「おもいっきり声出てるぞ……」

「なんで入れるの!? 普通入れないよ!? 正常なら入れないよ!? 馬鹿なの!? 頭おかしいの!? 穴があったら銃口でも入れちゃうの!?」

「それには深イイ事情があってな……」

「間違いなく良い話ではねぇよ!!」

 と、そこで放置されていたオナホが急にケタケタと笑い出した。

 

『あーっはっは! 食べちゃった食べちゃった! おちんぽおいしくいただいちゃったぁ!』


「喋った!?」

「キラーオナホールだ……喋りもするさ……」

 そうなのか。そんなもんなのか。

 いっちょまえにロリっぽい嗜虐系ボイスで笑うオナホ。シュールな絵面だ。

『キミのおちんぽ、とってもおいしかったよ……もう消化しちゃったけど。あはっ、どう、おちんぽボクに食いちぎられてドロドロに溶かされちゃって? 惨めだよねぇ!』

 しかもボクっ娘かよ。

 確かに声だけ聞けばちょっと突っ込みたくなる気持ちもわからんではない。俺のちんこも少し反応した。

『くんくん……ふふん、いきのいいおちんぽの匂いがするなぁ……まだ食べたりないよぉ……おちんぽ早くつっこんでぇ……』

 あ、やばい。これちょっとやばいわ……

 ……いやいや、騙されてはいかん。性転換するのは早坂一人で十分だ。

「そんなに食いたいんなら……これでも食ってろッ!!」

 俺は近くに落ちていたバイブ(何故彼女のいない早坂の家にそんなもんがあったのかは知らないし知りたくもない)を直接触らないようにティッシュで包み、五月蝿いオナホにぶち込んだ。

「どうだ!!」

 振動する極太バイブを奥まで突っ込まれ、オナホは水揚げされたマグロのようにのた打ち回った。

「駄目だ……その程度じゃ……」

 バキバキバリリィ!!

 壮絶な粉砕音と共に、バイブの紫色の破片が飛び散った。

「ひぃぃ!!」

 俺は恐ろしさに情けない悲鳴を上げてしまう。

『だめだよぉ……偽物なんかじゃ。ボク、本物のおちんぽを……キミのおちんぽを味わいたいなぁ……』

 這いずり回って近づくオナホを避け、俺はベッドに飛び乗った。

「おいなんか武器よこせ早坂武器! そこにある等身大アイギスフィギュアメイド服ver使っていいか!?」

「やめろ……触ったら殺す……結城、お前をここに呼んだのは他でもない……キラーオナホールを使って射精してほしいんだ……」

 もう意識が朦朧としてきたのか早坂は頭のおかしい事をほざき始めた。

「早坂、まだ諦めるな! タイに行けばお前もまだチャンスがあるさ! 気をしっかり持て!」

「いいから聞け……キラーオナホールは、挿入者が絶頂に達し精液が流れ込んだ瞬間、挿入者が頭に思い浮かべた人物へと姿を変える……」

「なにィ」

 俺はキャプテン翼みたいに驚く。

「それは二次元のキャラクターとて例外ではない……しかも変化した後はちんこを噛み千切る事はなく、召喚者に身を捧げ従順な僕となる……まるでエロマンガみたいなご都合主義だ……」

「エロマンガにちんこ噛み千切るオナホールは出ねぇと思うけどな」

「頼む結城……にこにーを俺の目の前に……このままでは死んでも死に切れん……ッ!!」

 涙ながらに訴える早坂を、俺は冷ややかな目で眺めた。

「え、いや俺μ'sだと副会長推しなんやけど」

「ロリフォルダ……」

「ったく、しょうがねぇな……俺たちは乙女式れんあい塾で繋がれた仲、だもんな」

 左肩に右手を置き、首をゴキゴキと鳴らす。

「にこにーのちっぱいをぺろぺろするまでは……俺は死ねないんだ……頼むッ!!」

 親に聞かせてやりたいその言葉に、俺は内に向けた右手を掲げてキメポーズを取った。

 

 

「任せな」 


 マーズランキングとか発表されそうなくらいかっこいい俺。超イケメン。

『なぁんか女の子を召喚できる前提みたいなやり取りだけどさ、まさか本気でボクに勝てるとでも思ってるの?』

「当然だナマモノ。ごちゃごちゃ喋ってると……舌噛むぜッ!!」

 俺は刹那でジーンズごとパンツを脱ぎ捨てる。既にちんこはアクティブ状態だ。

 創造クリエイトでの早撃ちクイック・ドロウ。アベレージは5分ってところか。

「噛むのは……下だけどな」

 なんか言ってるオカマを無視し、オナホールを握り締め――

 




『Get set』

「Ready...」



『Go!!」



 俺は化物に、己を投げ入れた。


「おうふっ……」

『あはっ、おちんぽおちんぽぉ!』

 挿入感は、俺の想像以上だった。

 適度にキツい締め付けに、ローション無しでのこの滑り。

 何より、まるで自我を持った生物のように――自我を持った生物なのかもしれないが――生温かく、絶え間無く動き続ける肉壁に、意識を刈り取られそうになる。

 いや、自我をしっかり持つのは俺の方だ。油断してるとすぐに刈り取られてしまう……意識より、もっと大事なモノを。

「へっ、こりゃ3分ってとこかな……いきなり噛み付かねぇのかい?」

『ふふっ、使えなくなるまでの最後のオナニーだからね。ちょっとばかりのサービスだよ』

「嬉しいこった……ッ!」

 俺はすっちゃすっちゃと手を動かしながら、僅かに腰を前後させる。いや、させられる。

 確かにこれは魔性の孔だ。引き抜いたときの強烈なバキューム感は生身の女では味わえないだろう。味わったことはないが、味わえないだろう。

「1分……!」

 早坂の呟きと同時に、オナホールに変化が起こる。

「……! キツく……!?」

『そろそろ食べちゃってもいいかなってね』

 秒毎に強くなる、締め付け。気持ちよさは増すが、これは射精を促すものではない。

 ゆっくりと締め付け締め上げ、ちんこを押し潰すつもりのホールド…・・・!

「ふん、だがそれも俺のちん硬度を上回れればの話だ!」

『へぇ、ずいぶん自信があるんだね。でも……』

 一旦そこで区切って、オナホールはねっとりとした口調で俺に言う。

『ボク、今まで何百人ものおちんぽを咥え込んできたんだ。さっきそこの人も使ってたんだよね』

「!」

 こいつ……俺のちんこを萎えさせる気か!

『キミとそこの人はいわば、穴兄弟ってわけだね。笑えるよね、同じところにおちんぽ突っ込んであへあへよがっちゃってさぁ』

「結城……耳を貸すな!」

『さっきまでそこの人が入れてた温もり感じちゃうでしょ? あはっ、噛み千切ったおちんぽの精液も混じってるかもね!』

「結城! 結城ぃ……!」

『……?』

 おかしい事を感じたのか、オナホールが押し黙る。

「結城……ッ!!」

 


 寒気。

 一旦引き抜こうとするも、根元は既にロックされていて外す事はできない。

『その油断が、命取りだよっ』

「……! まずい、結城ッ!」

 逃げられない…「早坂ちょっとうるさいから黙ってくんね?」

 

 そう、俺のちんこは一切硬度を失ったりなどしていない……!

『なんで……!?』

「ハッ……俺は処女とか清純派とかの響きより……ビッチとか淫乱とか小悪魔系とかの方が好みなんだよッ!!」

『くっ……さっきの人は一撃で堕ちたのに……!!』

 まあ早坂は処女以外は女と認めていないからな。

 オナホールが女なのかどうかは議論の余地があるが、早坂にとっては死活問題だろう。

「2分……!! もう少しだ結城ッ!」

 地味にカウントしてた様子の早坂が、終わりが近い事を告げる。

 わざわざ言われなくても俺の方がそんな事はわかってるんだけどね。

「キツくしてくれて助かったぜッ! なかなか良い具合じゃねぇか!!」

 俺はがっしゅがっしゅと面白い音を立てながら、オナホールの膣内(なか)を蹂躙していく。

『あれ、もしかしてもう勝ったつもりでいるの……?』

 オナホールが、拘束にも似た締め付けを緩め始める。

 そして。

「くそっ、このやろ、放せ、抜きやがれ……ッ!! やめろォ!!!」

 オナホールから生えた牙が、俺の陰茎を噛み千切らんと襲い掛かる――!!!

『なかなか楽しかったよ。でももう終わり――


 ――いただきまぁす』






 





 


「――なァんてな」

 俺のちんこは――無傷だった。

『…………!?』 

 ガキンガキンと何度も歯を立てるオナホール。しかし、俺のちんこはそれを通さない……!

『バカな、何で……!? ボクの歯で、噛み千切れないはずが――』

「俺も……何の勝算も無く結城を突っ込ませたわけじゃない……」

 早坂が口を開く。

「結城は、小学校六年の間、中国で暮らしていた……奴は親の意向で、強くなるために少林寺で鍛錬を重ねた……」

「その通り。そしてこれがその集大成……硬気功だ」

『硬気功……!?』

 頷く俺。解説役に徹してくれる早坂。

「功夫により丹田にチャクラを練り上げ、それを内功から外功へと転化させ……鋼の肉体を作る……ッ!!」

『!!!』

 驚きを隠せない様子のオナホールに、俺はニィと挑発的に笑った。

「どっかのホモ漫画みたいに竹刀でちんこをぶっ叩かれても眉一つ動かさない俺に、貴様如きの牙が通るかッ!!」

「お前……よくその話自慢するけど……どうしたらそんなシチュエーションに出くわすんだ……」

「更にッ!」

 俺は歯を立てたままのオナホールを掴み、激しく前後に動かす。

 常人ならちんこに激痛が走るはずの歯コキも、俺の前では……

「丁度いい刺激だぜ……ッ!!」

『……嘘でしょ……!?』

 驚きを隠せないオナホールに、俺は情欲を思いのままぶつける。

「2分30秒……!!! 残り僅かだ……!! いけぇ! 結城ッ!!」

「言われなくともォ!!!」

 既に俺の精巣は射出スタンバイを開始している。

 キラーオナホールだろうがなんだろうが、俺のちんこの前には……雑兵も同然。

「俺の……勝利だッ!!」

 にこにーにこにーにこにこにー。

 俺は頭の中で、上級生ながらも顔立ちと身体に幼さを残すにこちゃん先輩を想像し始める。

『へぇ……それはどうかな?』

 しかし。ここにきてオナホールは余裕を取りもどす。

 ハッタリだ。歯が通らない以上、打つ手は奴にはない……


「な……!?」

 ちんこに纏わり付く感覚。

 人肌より僅かに温かくちんこから腹へじんわりと染み込む体温も。

 粘りと滑りをもたらしながら止め処なく流れる体液も。

 無数のイボとブラシ状の刺激が快感を与える肉壁も。

 固く尖りながらもアクセントとなり射精を促す歯も。



     全てが


           消失した――!! 


 

『今度はキミが驚く番だね……!』

「バカな……ッ!?」

 スカッスカッ。

 手を動かしても腰を動かしても、ちんこは空を突くばかりだ。

 いくら俺が屈指のオナニストだからと言って、空気のみをちんこに感じて射精することは……不可能だった。

『奥の手ってやつだね。全部を引っ込めさせてもらったよ……さしものキミも、これじゃあ発射できないよねぇ?』

「く……くそッ……!」

「何……だと……!? 結城ッ!」

 俺達の絶望と焦燥を見て(実際に見ているのかどうかは不明だが)、オナホールは高らかに嘲笑う。

『あーっはっはっは、惨め惨め! その硬気功とやらが切れたところで、キミのおちんぽをゆっくり噛み千切ってあげるよ!!』

 こいつは……ちょっと、マズい、な。

 俺の額に、首筋に、汗が滝のように流れる。

 尚もちんこは、刺激を求めて彷徨い続けている。が、届かない。

 あと一歩で、射精できるのに――!!

 その時だった。早坂が、叫ぶ。

「結城……! にこにーを……にこにーを創るんだ……!!」

 そう。俺はにこにーを創るために、そしてロリ動画でテクノブレイクするために。こんな所でちんこを無くすわけには……



 ……にこにーを、創る……?


 俺は二人と融合を計る。

『自分の左腕で』『自分の胸を弄くる』と言う『虚像』を。

『副会長の左腕で』『にこにーのちっちゃなおっぱいをわしわしする』と言う『事実』に、置き換える……!!



 今の私は――

「!!」

 一瞬の閃き。

 俺の可能性は、途絶えてなどいなかった……!

「すぅ……」

『あれあれ? まだ悪あがきを続けるの? もう大人しく諦めてボクに食べられちゃえばぁ?』

「生憎だな。貴様に食わせるちんこは……持ち合わせていないッ!!」

 俺は使う。左手を、オナニーに使う。今まで使わずに放っておいた左を、ここで解き放つ。

 これをどうするか。アナルに使う? 否――


 ――俺は左手で、自分の胸を揉みしだき始める!!


『えっ……?』

「その手が……あったか……!!」

 勘のいい早坂は俺の目論見に気付いたようだ。俺は目を瞑り、邪念を全部捨て去り。

 そして、シンクロする。

 

 この身体は、にこにーの身体……

 ……この左腕は、副会長の左腕!

 今の私は――

  今のウチは――


                       矢澤にこよ!!

                        東條希や!!



『うそ……こんなことって……有りえない……!!』

「スピリチュアルやね……!」

 

 

 のぞみにおっぱいをいいようにされる快感が、胸から下腹部にかけて増幅していく。

 にこっちの未発達な乳房を、小さな乳首を弄る指先から伝わる感触もまた、それを倍増させる。

 スキンシップ程度のおしおきはどんどんエスカレートし、服の中まで手は伸びる。細い指で直接舐られる感触に、私の吐く息はどんどん荒くなる。

 快感のあまり抵抗もできないにこっち。紅潮する頬に、開きっぱなしの口から涎が光り落ちて行くのを見て、うちの大事な所も切なくなる――。


 

 それを慈しむ表情で眺めていた『俺』は頃合を見て、彼女達と入れ替わった。

 シンクロを解いた時には既に――手を動かさずとも十秒後には精液が放出されるほどに、ボルテージは暴騰していた。


「3分17秒……!!!!」

「予想以上に時間はかかった。が……」


「「……ゲームセットだ」」

 キラーオナホール……討伐完了。


『打つ手無し……まさか、ボクが負けるなんて……!!』

「やったな……結城。これでにこにーをこの手に……」

 にやり。

 俺は横たわり動けないままの早坂に、邪悪な笑みを浮かべる。

「ああ、にこにーは召喚される。だが、お前のものにはならない」

「え……!? まさか、結城……」

 早坂の表情が、一転して絶望のそれへと変わった。

「そう、にこにーは俺のものだ! お前になど渡すものか!」

 今まで黙っていた計画を、俺は打ち明けた。

「俺とのセックスでアへ顔ダブルにっこにっこにーをしたにこにーを眺めながら一人虚しくにこニーに耽るんだなぁ!!

 おおっと、もうちんこはないんだっけか! ヒャーッハッハッハ!!」

「そ、そんな……裏切ったな、結城……!!」

 悔しさの涙を流しながら地面を叩く早坂。しかし奴には成す術も無い。

 こんなやり取りをしているが、早坂は寝取られフェチで俺は寝取りフェチなのでwin-winの関係である。

 って言うか、ぶっちゃけ茶番である。

「初めてのセックスはにこにーとか!! 悪くないなぁ!! にこにー好きの前でするなら格別だァ!!!」

「くそう……俺に力さえあれば……ごめんよにこにー……悔しい……でも感じちゃう……」

 俺は既に戦意を失い、いい感じのオナホになったキラーオナホールでちんこを刺激しながら、にこにーの事を思い浮かべる。

 副会長派の俺だが、にこにーも悪くない気がしてきた。夏コミのサークルチェック増やさないとな。

「にこにー! にこにー!! にっこにっこにーー!!!」

 そして俺は、絶頂を迎えて射精する。

 

 丁度その瞬間。

 これ以上無く絶妙なタイミングで――俺の携帯電話が、着信を告げた。

 














            『あっのっころっはっ!!』
















 

 そして召喚される、えっと……その……にこにー。

「……」

「……」

 固まる俺達二人。

 早坂が突然ガクガクと痙攣しだしたのを見て、俺はにこにー……うん、にこにーに命令した。

「いかん、アッコさ……にこにー、早坂が死んでしまう! 例のアレをお願いしま……頼む!!」

 コクリと男前に頷くにこにー。うん、どっからどう見てもにこにーだな。ツインテールだし。あとは……ほら……制服着てるし。

 両手を人差し指と小指だけ立てて握り、頭の横に持ってくるようにして。

 ガニ股になり17歳の少女にしては大きすぎる身長と力強く太すぎる声で、彼女は叫ぶ。





 「にっこ! にっこ!! にーーーーー!!!」










 早坂は死んだ。


 完 (ED曲:和田アキ子/古い日記)

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キラーオナホール ろまえ @hamayarawan

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