とあるおんなの転生譚

@Zakuma

第1話最初の人生

 あたしは、物心ついた頃には遊郭の中にいました。

 おっかさんは遊郭の中で働きながらあたしを産んでくれたのです。

 あたしも大きくなったらおっかさんと同じ仕事をして恩返しをしたいと思っていました。


 数えで六つの頃から読み書きそろばんや手習いごとを、お姐さんや旦那さんたちから習い始めたのです。

 「きちんときょーよーをみにつけていれば、うれっこになれるぞ」と言われて、何もわからずに字を覚え、漢籍を諳んじるようになったのです。


 ある時、おっかさんと同じ仕事をしているお姉ちゃんのおなかの中にやんちゃそうな男の子が見えたのです。

 その男の子のことをお姉ちゃんたちに言うと「そんな子はいないよ」って笑われてしまいました。

 でも、それから三月か四月経った頃お姉ちゃんは吐いたのです。

 そしてお産婆さんが来た後、男の子はお姉ちゃんのおなかからいなくなってしまいました。

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