あのとき、このとき

　季節は桜の花びらが舞い散る春。今年こそ順風満帆な日々を過ごそうと周りが息巻くなか、沢良木悠助もその中の一人であったがすぐにその熱は冷めてしまい日々を暢気に過ごしていた。
　進級して高校二年なった今、まさに青春真っ盛りな中をいるにも関わらず。彼は悪友である清水輝野と共に、「去年の反省点を今年ことは活かす」と言いながらも駅前でナンパをするという愚行を起こすことになった。
　もちろん、上手くいくわけもなく。諦めかけたとき、遂にナンパに成功したと思いきや。その相手は過去に彼が告白して、あっさり断られた少女――桜ヶ丘櫻だった。
　固まる彼に、驚く彼女。
　阿呆な彼に春は来るのか、来ないのか。
　――あのときから、このとき。こころはうごきだす。