最初、冒頭から文章が破綻してるのかと思いながら読み進めていくと散文詩のような感覚にのめり込みました。ファンタジーと言っても、夢や希望などを描いているわけでなく、ひたすらストイックに言葉を繋いでいます。幻想的と言うよりは精神世界のような短編。オススメです。
この短編小説はさらっと読めてしまう。さらに、読むと情景がわく…短いからこそのすばらしい作品だと思います。
言葉とはなにか。文章とはなにか。そして小説とはなにか。元来、自由であるはずの表現に、我々は窮屈なルールを当てはめてしまっていないだろうか?そんな常識を軽やかに飛び越えていくのがこの作品だ。荒唐無稽に思える話は洗練された文章力で読ませることに成功し、どこか人生の、生そのものに対する自由を突きつけてくる。これは挑戦であり、挑戦ではない。ただ、そこにある。だからあっていいし、なくてもいい。そんな自由さが、心地よい。