第3話(彼side)



「ごめん、別れよ」



「うん……今までありがとう」



このやりとりももう何回目だろうか。



彼、冴島雪(サエジマユキ)は顔が整っていたせいか昔からモテていた方なのだが、なぜか必ず浮気をされて別れる、という事が多かった。




それもそのはず。彼は物静かで特別何をするってわけでもなく、積極的な人間ではないからだ。告白されるも断るが、何故か「付き合ってくれないと死んじゃうから!」などと半ば脅されるようにして付き合う事がほとんど。



しかし、彼の性格からか、つまらないといって浮気をし、別れるのが彼の今までだ。しかし特に恋愛感情なぞ持ち合わせていないため、ショックはさほど大きくないようだ。



夕日が傾き空がオレンジ色に染められる時刻。そろそろ帰ろうと教室にカバンを取りに足を運ぶと、1人の女子生徒が窓際の席で外を眺めていた。




「綺麗だ……」



思わず声に出して呟いた。教室はオレンジ色の光を取り込み、彼女の姿は影のようになっていた。それが随分と絵になる程に美しいと、彼は感じた。




「あら、冴島くん。今帰り?」



「あ、うん。東雲さんは?」



「もう少しここにいるわ。」



そっか、と呟きカバンを片手に取り、軽く彼女を見てから教室を出た。



ただそれだけの出来事。



だがそれが、彼と彼女を深い闇へと誘う出来事でもあった……


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浮気と恋と泥沼と 無気力少女 @yuu-mgn0704

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