二章-新たな出会い、そして新たなる敵。

一章-詳細-

             「君に女性部隊を率いて欲しいんだ。」




 「!?」


 動揺するしかなかった。なんで男の俺が女性部隊を率いらなければならないんだ…たしかに最近では女性も戦場へ赴くということはそれほど珍しいことではなくなっている。細かい作業や銃器の取り扱い方なんかは女性のほうが良いという例もある。だが、女性部隊を率いるのは基本的に女性の指揮官だ。男兵士が女兵士を率いたという報告は俺はまず聞いたことがない。そのはずなんだが…


 「まあ動揺するのも無理も無いよね~率いるのが異性だし。」


 そういう問題では無いんだが……いや、異性だからコンタクトが取りにくいのも避けられている要因の一つなのかもしれない。


 「なら、ますますわからないですよ…なんで俺なんですか?階級も低いのに。」

 「少なくとも君を評価している人間はいるんだ。だから、その女性部隊を率いてくれと上からのお達者なんだ。言っておくけど18の君が部隊を持つってのは結構な出世だよ?」


 そうは言うが……


 「そんなこと言ったらまだ私17か。あははは♪」

 「………率いるのは年齢的にどれくらいの人たちなんですか。」

 「率いると言っても4人だけどね。16が2人、17が1人、18が1人だね。」

 「はあ…」


 ため息を付きたくなってしまう俺より年下がほとんどか…なんとなく俺に回ってきた理由もうなずける。年齢も近いし、それなりの実績を上げている。故に俺に任された、と。


 「分かりました。やりますよ。命令には逆らうわけにもいかないですし。」

 「こういう時、君の律儀な性格は助かるね~ドライな性格はこういうところでは役立つね!普通ならその場で断られるようなことなんだよ?」

 「………。」


 なぜだろうか。この人を一瞬殴りたくなった。なぜなのだろう。

 すぐに冷静を取り戻し、早速俺はその4名の女性兵士の詳細を聞くことにした。


 「その、4名の詳細は。」

 「スリーサイズとかは教えないよ?あ、ウエストとかは教えても良いかもしれないけど!」

 「……(サッ

 「ああ!?冗談だよ!帰らないで!」


 全く、こんな人が司令官とはな…ここまで個性の強い司令官は他に居ないんじゃないのか?それにしてもスリーサイズとか普通の兵士なら興味沸かな…人によるか。


 「ゴホン。じゃあ一人づつ教えていくね。まずはクレア・ホールトン。アメリカ出身の18歳。君と同い年だね。」


 同い年で戦場…か。なんとも言えないな…


 「クレアは元はメディック出身。医療関係には詳しいよ。ただ、まだ銃の取り扱いには慣れてはいないから色々教えてあげて。」

 「メディック出身ですか。応急処置などの対応ができるならどうにかできます。」

 「助かるね~」


 メディック出身であれば、即座の負傷にも対応できるはずだ。銃器に慣れてないのはまあ、後ろに回して援護させる形でいいか…


 「次に、エルネスト・アマンダ。17歳。ベネズエラ出身で、父親は業界の中じゃ有名な実業家エルネスト・ジョージ。」

 「エルネスト・ジョージなら聞いたことが…確か、戦争事業にも手を出していたとか…」

 「うん。その一人娘がエルネスト・アマンダ。でも、自ら進んで戦争に来たんだよ。父親の後押しも何もなくね。」

 「変わったやつだな。」

 「目の前の幸せより、もっと先のことを優先したんだね…彼女はサブマシンガンが得意。シモ・ヘイヘ並とまでは言わないけどね♪」

 「人外と一般兵士を一緒にしゃちゃだめですよ…」

 「あははは。そうだね。…さて次は郭瑞蘭カクルイラン、台湾出身の16歳だね。」

 「台湾ですか。まあ、珍しいですね。それに…まだ16ですか。」

 「まあ、彼女も何かしらあってきているんだろうねぇ。彼女はスナイパー。でも、あまり慣れてはないみたいでね。あまり射撃訓練でもいい結果はないみたい。」


 スナイパーは難しい。正直、なれないうちはアサルトライフルやサブマシンガンを使ったほうが良いんだが…本人のやる気次第だな。


 「最後の子は残念ながら本名は不明。だから、コードネームだよ。コードネームReaperリーパー。16歳。おそらくだけど日本人。」

 「死神…か。」

 「物騒なもんだね。彼女は最新鋭のエネルギー兵器を使用するよ。電磁高周波ブレード、エナジーガン、プラズマライフルなどだね。」


 電磁高周波ブレードは通常の高周波ブレードに改造を施し、電気をまとわせることでより威力を増したものだ。エナジーガンは原理について俺も良くは分からないが特殊弾薬にプラズマを纏わせ発射するらしい。形状はハンドガンに近い。プラズマライフルはエナジーガンのアサルトライフル版のようなものだ。弾薬もエナジーガンとは違うらしい。


 「そいつも、日本人か。」

 「良かったね~同じ日本人がいれば気は楽じゃない?」

 「なんでそいつは本名がわからないんでしょうか。」

 「あいたたた…スルーは酷いね…どうやら記憶喪失でね。自分の名前を忘れたらしいんだ。Reaperと呼ばれるのは、軍に入る前に敵軍の分隊長の首を持ってきたことかららしいね。」

 「それはまた…」


 末恐ろしいな…もう少し詳細を聞きたいところだがそれは本人達に会って聞いてみることにするか。


 「他に質問は?」

 「後は本人達から聞くので大丈夫です。それで私はドコへ向かえば?」

 「この建物の2階の兵士待機所に行って。そこに4人いるはずだから。」

 「了解です。」


 そう言って俺は一回敬礼をしてその場を後にし、兵士待機所へ向かった。





             不安しかないがもうやるしか無いと思いながら…

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