三章-司令-

 「コードナンバーを。」


 扉の前の兵士が問いかけた。


 「ナンバー26。司令本部の命により来た。」

 「ナンバー26……指令を確認。どうぞ。」

 「ああ。」


 司令本部は警備が厳重だ。それだけに、ややピリピリした空気が漂っている。さて、司令本部に来たは良いがどうしたものか……


 「おーい!祥吾くん!こっちだよ!」


 !?なんで実名で呼んでるんだ…それに、声からして女性か。おそらく秘書か何かであろう。俺は声のした方へ行く。


 「君がナンバー26、外木場祥吾くんだね!」

 「はあ……まさかとは思いますが。」

 「そのまさか。私が司令官の東尾真奈!よろしくね♪」

 「は、はあ……」


 その女性は茶髪をストレートに伸ばし、目も綺麗であった。軍人とは思えない容姿ではあった。それも年齢もまだ10代と感じた。

 まさか女性とは。びっくりだ。しかも俺と同じ日本人か…アジア人、それも日本人は特に敵対関係にあるはずだからなかなか会うのも珍しいがな。

 そんなことを考えつつ司令官である東尾真奈に問いかける。


 「指令についてお伺いに来ました。」

 「やっぱり冷たいもんだね~」

 「悪いですが、慣れ合いは嫌いなので。私のことも多少はご存知でしょう?」

 「そりゃあもちろん!私と”同じ経緯”でこの戦場に立っているんだからさ。」


 少しばかり困惑した。同じ…?どういうことだ?


 「君もそうなんでしょう?”彼女に導かれて今、ここに立っている。」

 「……司令。あなたもあの人に?」


 俺はそう問いかけた。俺と、同じ経緯…そう言われて俺は一瞬戸惑いの色を隠せはしなかった。


 「私は東京都浅川に住んでいた。あなたは静岡県浜松市。違いはそれだけだよ。ほんっとに君とそれ以外に変わりはないよ♪」


 ならなぜここまで明るいんだ!そう俺の心のなかは思った。俺と同じ経験をしたのであれば…


 「俺と同じ経験をしたのであれば俺と同じになっている、そう考えてるのかな?」

 「……!?」

 「私たちは似た者同士だからね。感じるよ。…そりゃ最初は君みたいな感じだったけど今じゃ立ち直ってこんな感じ!」

 「立ち直る…ですか。」


 俺には全く無縁の言葉だ。俺は、挫折したことなんて無い。あるとすればそれは…いや。よそう、考えこむのはやめにしておこう。


 「……それより司令。任務とは一体…」

 「ああ、肝心な話を忘れていたね…君にやってもらいたいのは…」







                「女性部隊を率いて欲しいんだ。」


 俺はその言葉を聞いた時、動揺するしかなかった。

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