その日、僕は死にました。

愛沢 かな

5月23日



天気予報がまた外れた。


晴れのち曇りだっていうから、それなら。と、白を選んだというのに、突然の大雨に洗われた僕は全身ずぶ濡れで、駅前の噴水広場近くのコンビニへと駆け込んだ。



正確には、コンビニ外の雨避け下に駆け込んだという方が正しい。




ボタボタボタとプラスチック屋根にぶつかる雨音が酷くて、いまにも屋根を突き破ってしまうんじゃないかって不安に駆られた。





それだけじゃなかった。

ここから見える景色が大きなシャワーをかけられたみたく、真っ白で数メートル先さえ見ることができない。



おまけに風まで吹いてきて、雨避けの下に居たって一時しのぎにすらならない。

これじゃバラエティー番組の罰ゲームだ。



さっきまでは穏やかな夕方の一時だったのに、そこにはもう誰も居なくて、噴水のシルエットがなんとなく見えるだけ。



タクシー乗場の様子も、駅構内の様子も、すぐ近いのに何も分からない。




まさに異常気象とはこのことだ。





打ち付ける雨水がジャケットやジーパンに染み混んで重いし冷たい。


素足で格好よく履いてる麻地の靴の中には、アスファルト同様の水溜りができていた。






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