第32話 高等部ー岡田修【位置交換】
修と智香が高等部3年フロアに到着した時
そこは既に地獄だった
まずは廊下。
見知った顔の、いくつかの死体。
その幾人もの死体は、喉を、腹を、全身を掻っ切られ、おびただしい量の血液が水溜りを作る。
死ぬ瞬間までもがいていたのだろうか
苦しそうな表情と、割れた爪が視界に飛び込む。
周囲に毛ほどの興味もなかった修と言えど、朧げに思い出したクラスメイトの死体を前に、少しだけ眉を寄せた
「なんやこれ………」
そう呟く修の袖をキュッと摘む智香。
智香に視線を移すと、智香が親指でクイクイと場所を示した。
智香は必要以上の言葉を発しない。
相手が意を汲んでくれると分かっているなら、言葉すら発しない。
智香が示した指の先。そこは修のクラスの中だった。
悲鳴が聞こえる。助けてと叫ぶ声が響く。
教室の中から人が飛び出し、修や智香の肩にぶつかりながら室内から全力で走って逃げる生徒たち。
「………そりゃあ、犠牲になる人もいるわよね。」
智香の視線の先には、青白い顔でナイフを振るう一人の生徒
「うばぁあ、ぁぁあぁあ」
言語にもならない声を発し、白目を剥きながらブンブンと無雑作にナイフを振るう。
明らかに、ゴーストに乗っ取られていた
血塗られたナイフを虚空に振るい、周囲に人を寄せ付けない。
「勇者はどけ行ったんや」
「………中等部中庭でゴブリン相手と戦ってたわ。」
「まぁ、高等部3年なんて、一番最初に勇者の巡回が終わるか。」
ゴーストに建物の高さは関係ない。浮遊し、すりぬけ、憑依する。三拍子揃った厄介な敵なのだ。
とはいえ、自分のクラスに友達のいない修は名前も忘れた生徒を助けることもなかった。
むしろ助けたくなかった。
「何をしているの!早くなんとかしなさい!!」
大野紗枝が金切り声を上げながら逃げる。
自分の身に危機が迫り、周囲の人間を使って自分だけでも助かろうとするその浅ましさ。修は反吐が出そうだった。
当然、彼女を守る人間はおらず、他のクラスメイトも同様に、足早にクラスから逃げ出していた。
「ばぁあああぅううあああ」
ナイフを握ったまま体を傾け、不恰好に走り出す生徒。
その刃の先に居るのは普段修をバカにしている男子のクラスメイト。
当然、修が普段から死んでくれないかなぁ。と思ってるような人間を進んで助けるようなお人好しではない。
修はもっと捻くれている。
「智香ちゃん、どげんかできる?」
「………できる。けど、多分私の能力じゃ爆発四散がオチ」
「せやろな。怪力乱神やもんな」
ナイフを持った生徒は、転んだ男子生徒の胸にナイフを突き刺すと、生徒の絶叫と悲鳴が校舎にこだまする。
智香は怪力で物理的に解決できるが、流石に霊体のみを引き剥がすのは修にしかできない。
「しゃあないか。自分の力でなんとかしてちょーだい。」
ならば、修の回答は諦める。これにつきた。
修の能力は回数制限付きだ。嫌いな生徒を助けるために貴重な藁人形を消費するわけにはいかない。
そのくらいの取捨選択はするのが修だった。
修がクラスメイトに毛嫌いされている話を智香も聞いている。
それが霊能力という怪しげな厨二病を拗らせた根暗なオタクなら、嫌われても納得だが。
智香も異能の持ち主だ。修には同情した。
だから修の行動を責めたりはしない。
修の状況は、あったかもしれない智香の未来の姿だから。
とは言え、二人とも邪魔者は退けるくらいのことはする。
息絶えた生徒からゆらりと立ち上がり、白目をむいた顔を智香に向け、ペタペタと走り始め
目障りな生徒が、棒立ちの智香に向かって虚ろな目で血に濡れた刃物を振り上げ、智香に肉薄する
「おい、あぶねーぞ!!」
と、いつの間にかに現れた中学部の女生徒である智香に、一人の男子生徒が逃げながら警告を飛ばすが
「………危なくないわ」
智香は全くと言っていいほど身の危険を感じていなかった
智香は振るわれるナイフに対して、無防備に腕でガードを上げた。
夏服の袖から伸びたその細腕にナイフが突き刺さるーーー
そんなことは一切なく
「………その気になれば、皮膚さえ硬いわよ」
キンッ と音を立てて刃は止まった。
「怪力乱神こっわ。なんでもありやん」
「………だいぶ使い方がわかってきた。ただコレ、制御できるような能力じゃないわ」
智香はナイフの刃を素手で握るーーいや、握りつぶした
突き立てられたナイフを奪った智香は、その残骸をじっと見つめた後、転がすように床に落として捨てた。
「ばあぁぁあああああ!!!」
襲いかかってきた生徒は、ナイフを奪われた事で今度は素手で智香の首を絞めにきた
もはや室内に残っているのは襲いかかる生徒と、智香。そしてその隣で静観する修のみとなっていた。
誰もが遠巻きから、悲鳴混じりにそれを眺めている
生徒の太い指が智香の細い首を捉えた。
修はこの程度で智香の怪力乱神が負けるとは微塵も考えていないため、手助けすらしない。
数珠を巻いた左手に少し力を込めただけだった。
だが、直後、
バゴン! バキバキバキ!
轟音。
智香の首を絞めていた男子生徒の身体が勢いよく吹き飛んだ。
音の正体は、智香が突き出した腕。
押し出した腕の勢いに逆らえず、男の身体は3年3組の黒板に大激突したのだ。
激突してなお勢いはさほど衰えず、壁ごと破壊したのち3年2組の黒板に激突し、身体を半分ほどめり込ませて、口から大量の血液を溢れさせ、息絶えていた。
「………オンとオフの切り替えすら出来ない。常時発動型よ、この能力。」
常時発動型、とはすなわちみくるちゃんの動物達の茶会と同じく常に発動しっぱなしの能力。
「しかも常時発動型のくせに、爆発的怪力を生むのはほんの一瞬だけ。ムラッ気がありすぎる」
「ボケ担当としては使いづらい能力やんな」
「………ほんとそれ。押すつもりだったのに、校舎の破壊だもの。シャレにはならないわね」
「シャレじゃすまんな………必要経費や。さっきの男はおっちゃんが蘇生させたるから、気に病まんといて」
「………助かるわ。流石に殺人は荷が勝ちすぎた見たい………」
胃のあたりを押さえて俯く智香。豚やゴブリンを殺すことに躊躇など無かったが、流石に意図せず自分の腕で殺人を犯すことになるとは思わなかった。
相手が既にゴーストに乗っ取られているとしても、生身の人間を殺したことに変わりないのだから。
「………しかも、燃費がものすごく悪いわね。吐き気で今にもリバースしそうなのに、それをあざ笑うかのように壮絶な空腹が襲ってきたわ。」
「過食拒食症かな?」
「………カレーが………産まれる………」
「やめて。吐いたら智香ちゃんが食べた10人前分、弁償してもらうで!」
「むぐぅ、すでに初期武器を担保に借金をしている身………意地でも消化するわ」
そんな状況でもボケ担当という意地を見せる智香には天晴れだ。
「お、おい、ナニモンなんだ、あんた………」
「ただの中学生よ」
ただの中学生は校舎の破壊なんてしない。
生徒のつぶやきを対等に流した智香は自ら破壊した大穴に向かって歩みを進める。
「さて、3-2はスポーツ健康科学学科。運動能力の秀でた化け物たちの教室やで。」
「ふぅん」
「せやから、おっちゃんはこのクラスの人たちに比べたら、運動能力なんてうんこみたいなもんや」
智香の開けた大穴からよっこらどっこいしょと中に入ると
「………あ、あぶない」
「ぬ?」
穴を抜けた、その時。
視界の端でキラリと鈍色に輝く金属光沢が見えた
「うわたっ!!?」
修は咄嗟に腕を上げてガードするも
ガズンッ!!
と、何者かの攻撃は修の腕を切り裂いていた
「うそやん!? いったぁああああ!!」
いくら修が物理攻撃に弱いといっても、職業レベルカンストだ。
ある程度の攻撃はダメージにもならないはずだった。
だと言うのに、その一撃は修の骨すら叩き斬っていた
何者かがその修の腕に刺さった刃を乱暴に引っ張って抜き取ると
「なんだ、修かよ。どんな化け物が出てくるかと思ったら、ガッカリだな。」
「人の利き腕を再起不能にしといてその言い草はヒドイやんか、キラメキ。」
そこに居たのは、真田キラメキ。みくるちゃんから買った鉈を担ぎ、腕には装飾を施された腕輪が光る。
キラメキはハンと鼻を鳴らして笑い飛ばすと
「死ねばよかったのに」
「せやな。お前はそう言うやつやったわ。」
噴水のように血が噴き出す傷口を押さえて周囲を見渡す。
教室の中に倒れているのは、野球部の5番だったかなと記憶の片隅を探った。
キラメキは修とは同じクラスだが、その運動能力、ポテンシャルは修の遥か上。
スポーツ学科の連中とタメを張り、走力と全速力の持久力ならスポーツ学科の連中をも凌駕する。
瞬時に判断できるほど修の頭の回転はよろしくないが
倒れ込んでいる生徒には、ゴーストが憑依していた痕跡があった。
身を守るためとはいえ、キラメキは同学年の生徒を手にかけたらしい
「さすがにおっちゃんにはできんわ」
修はヘタレで、呪術師だ。
呪術師の癖に、心の中ではいつも嫌いな奴のことを呪っているくせに
自分から人を殺そうと思ったことはない。
死にそうな奴を放っておくことは出来る。
だが、自分で手を下すことは無かった。
多分何も感じないのだろうとは心の底から思っているのに、小説や漫画の読みすぎで、もし自分の意思で私的に殺人などを犯してしまったら精神がおかしくなってしまうんじゃないかと自分の心のことを一番信じていないのだから。
だが、自分から殺そうと思ったことはないが、相手から殺そうとしてきた際は、遠慮はしないことにしている。
心の中で正当防衛の言い訳を作ろうと探しているあたりが、実にヘタレである。
「せっかくの人形やのに、もったいなかなぁ」
修は左手でポケットの藁人形をぐっと握ると、修の右腕についた傷が一瞬で完全に消える。
同時に、ポケットのなかの藁人形が弾け、藁人形の右腕から血が滴る。
修が受けたダメージは、全て藁人形に肩代わりしてもらう。
【
グッパッと右手の調子を確かめ
「さて、現代日本ならともかく、ココはもう秩序の崩壊した異世界や。」
修はいじめられっ子で、ヘタレで性格も根性も捻じ曲がっている
「あん? お前、腕………」
怪訝そうに修を見据えるキラメキ。
「やられたら、同じだけやり返されても文句言うなや」
言うや否や修の姿が消失する。
キラメキの背後に転がした藁人形と位置を入れ替えたのだ。
「は?消えっ!?」
腕の弾けた藁人形と五寸釘を左手に。
右手にハンマーを構えた。
「おっちゃんの受けた痛みを知りなさい!」
――カン。 と甲高い音とともに、キラメキの背中を五寸釘が貫いた
同時に、バチュッ と肉が弾ける音が聞こえた。
「な、に………がぁああああ!!? 腕がァ!!」
『痛覚反転』それは修の受けたダメージを、藁人形を介して相手に移し替える能力。
自分自身の手で修の腕を切り裂いた、まさに同じ場所を、鉈でえぐられたような傷跡が走る
力の入らなくなったキラメキの右腕から、血濡れの鉈が滑り落ちる。
それを横目で見届けた修は、グルンと身体を回転させながら藁人形と五寸釘をキラメキの背中から引っこ抜く。
「ぐぅう、な、に………しやがった………!!」
左手で傷口を掴み、噴き出す血を押さえて、歯を食いしばりながら絶叫を堪えるキラメキ。
「いきなり何すんねんと、言葉を変えてお返しするわ。そんセリフ。1分前の自分に言ってろ」
吐き捨てるように修を睨みつけるキラメキにそう言った。
そうだ、と思い出したかのように修は地面に落ちているキラメキの鉈を拾い
「こっからは倍返しタイムや。左腕も置いてけ。」
「な!? おい!!」
日頃の恨みとばかりに鉈を振りかぶって、思い切り振り下ろす―――
「………オサム、やりすぎ」
が、
―――パシッ と、智香の手のひらに鉈を受け止められた。
「ッ!!?」
「………。」
「………。」
鉈を素手で受け止めた智香を驚愕の瞳で見るキラメキ。
そして、智香はじっと修を無言で見つめた後、修はふぅっと鼻から息を出して鉈を捨てた。
がん、カランゴンと鉈が地に落ちる音。
やれやれと肩をすくめた修は
「命拾いしたな。なんて言葉はこんな時に使うんやな。」
「………おお、初めて聞いた。正しい使い方を実際に聞くと感動するわね」
「漫画でしか聞けないようなセリフを自然と出せる。すばらしいやんな」
腕を組んでうんうんと智香と二人でうなずき合う。
「クソが………!! 腰ぎんちゃくのくせに………」
「なんか腰ぎんちゃくに負ける犬が吠えとるわ。ウケる」
だが、ここには腕を破壊されたキラメキが居ることを忘れてはいない。
修はフユルギに金魚の糞のようにくっつく腰ぎんちゃくだ。
喧嘩も弱い。成績も悪い。運動能力もキラメキよりも低い。
だが、この異世界で、異能力という点では、修が圧倒的に経験値が上だ。
「さ、て、と。その右腕。ずっと動脈を押さえつけ続けられるわけないやんな。左手離したら血の噴水や。押さえ続けてても血は止まってくれないし、5分あったら余裕で死ねる。キラメキの命もここまでやんな」
だらだらと背中から脂汗が噴き出すキラメキ。
このままでは死ぬ、ということがキラメキにはわかっている。
だが、救急車も呼べないこの漂流教室ではどうやっても助かることができないのだ。
「そこでや。ここに購買部で売ってたポーションがある。」
修は、スマホの中から小さな小瓶に入った真赤なポーションを取り出してみせる。
「………ッ!? よこせ!!」
「くちーの利き方ーに気ぃつーけるー………やで?」
「………」
「いやー、いきなり異世界に飛ばされてなんもかんもわからん状態で、『回復アイテム』を買わずに武器を買う! いやー、豪胆やんね。この貴重な貴重な回復アイテム、どうしてほしい? 言うてみ? なあ、なあ?」
ギリッ、と歯を食いしばる音が修にも聞こえた。
「ポーションを、ください」
「へー、ほーん、ふーん。人をいきなり鉈で切り付けておいて、ポーションを無償でくださいとは虫のいい話やんな。智香ちゃん、どう思う?」
キラメキには、いつもさんざん虐められてきた。小学生のころから、ずっとだ。
だから修はここぞとばかりにキラメキを追い込む。嬉々として。
そして、その様子をみた智香はある程度、修とキラメキの関係を把握し、『オサムの性格はひねくれ者のクソね』と結論付ける。だが、修の言っていることは一応の筋が通っているため、自分は言い方に気を付けようと心掛けた。
今回の修のセリフは煽りに全振りしてあるため、瀕死のキラメキにも効果は抜群だった。
「………虫が良すぎるし、反吐が出るけど、わたしには関係ないから実際のところ、どうでもいい」
そんでもって、智香は一応、修のやりすぎを収めるために間に割って入ったが、別段キラメキに興味があるわけではないのだ。
「だってさ。
「ぐ………バッグの中に、金がある。好きなだけもって行っていい。だから、それを売ってくれ」
「日本円なんて役に立たんっての。おバカさんかな?」
「日本円は全部こっちの通貨に換金してもらった。だから………!!」
「足りないなぁ………自分の命にあやふやな値段をつけるとか………。そんなんじゃ売れるもんも売れんっちゅうに。そもそも、バッグの中に金が入っている証拠は? どのバッグやねん。幾ら入っとるのかまるで言えとらん。そもそも、おまえに、信用が、ない!」
「くっ………じゃあ、どうしろってんだ」
何を言っても、修はポーションをぶら下げたまま首を縦に振ることはない。
だから、どうすれば助けてくれるのか。それを直接聞いたものの………
「野垂れ死ねって言ってんの。わっかんないかなー。人を殺す気で襲って来たやつを生かしておく義理はないんやで。勝手に死んでろ」
そのセリフで、キラメキは絶望を知る。
「にゃっははは! 日頃さんざんイジメている奴に下に見られる気分はどないや? 命を握られている気分てどないや? なあ、なあ、どないや? 言うてみ、なあ?」
「クソが………」
血の涙を流さんとばかりに修を睨みつけ、頬を熱い液体が伝う。
日頃バカにしている修に、ここまでされて、プライドはズタズタだ。
悔しくて憎くてぐちゃぐちゃとした感情が怨念を渦巻く
「ああ、はいはい。おっちゃん性格クソやもん。クソで結構。まあ、おっちゃんかて極悪人になりたいわけやあらへんし、この辺にしときましょか。智香ちゃん、このポーションあげる。好きにしていいよ」
修はキラメキが悔しがる様を見て満足したのか、ポーションを智香に手渡した。
「………? なに。オサムが渡してあげればいいんじゃないの」
「いやいや。おっちゃん、こいつの事殺したいくらい嫌いやねん。正直、触れたくもない。だから、おっちゃんは助けない。第三者の善意に任すわ。別にキラメキに感謝されたいとも思わんからな」
「………そ。なら貰うわ。」
智香はそう言って、流れるように己の懐にそのポーションをしまった。
「ってそこはそのチンピラに渡したげるとこやないかーい!」
「………!!」
修の裏手が智香の肩に炸裂。
まるでお手本のようなツッコミに智香はゾクゾクと体を震わせる
智香は本能に忠実だ。
本能に従って最高のタイミングでボケをかます。
そんで修はボケを拾ってくれるという信頼があったためのボケだった
「………ありがと。ボケられるタイミングは選ぶわ。使い方は?」
「まったくもー。飲むなり傷口にかけるなり。」
「………ん。」
瓶のコルクを抜いて、試験管のような小瓶から液体をこぼしてやる。
もちろん、キラメキの傷口にだ。
「………オサムはツンデレ?」
「笑かすな。貸し作ってやりたいだけや」
殺したいほど憎いと言いながら、ポーションを分けてあげる。
智香にはその行為はツンデレのそれに見えたが、修の顔は本当に不愉快そうだった。
じわじわとキラメキの傷口が回復する中、修は背を向けて歩き出す。
「5分で完治ってとこやな。ほなおっちゃんにもう二度とちょっかいかけんといてな。」
智香も小走りで修の隣に並んだ。
キラメキには興味のかけらも無いので、ポーションをこぼした後は一瞥もしなかった。
小瓶はコルクを締めて、一応ポケットに入れる。
修は当初の予定通り、壁に激突した生徒に対して藁人形を使用して蘇生し、それを見届けた智香がそっと息を吐いたのを確認したのちに、2組の教室を出るのであった。
「くそが………」
キラメキの呪詛は、夜の教室に溶けて消えた。
異世界転移に巻き込まれ損ねたっ! たっさそ @tassaso
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