白絵具《しろえのぐ》
みぺこ
白絵具《しろえのぐ》
雪がしんしんと降り積もる。
空から降ってくるたくさんの粒が、小さなこの
――まるで世界に私一人しかいないみたいに。
ざくざくと雪を切り、私は歩いていた。
振り返れば、白い世界に私の残した足跡だけがついている。
立ち並ぶ
――きっと、私もそうだろう。
空から
白いキャンパスの中につけられた小さな粒。それが私。
それでも私はきちんとキャンパスに収まっている。キャンパスの一部にいる。
小さく吐いた息は、白く染まって消えた。まるで
コートのポケットに突っ込んでいたカイロをぎゅっと握る。じんわりとした温かさが手の平を通して
――少し、急ごう。
ぎゅ、ぎゅ、と雪を踏みしめる音を絶えることなく響かせる。
吐く息は短く白い。合わせるように鼓動も脈打つ。
どこまでも続く
それでも足取りに迷いはなく、目指した場所へと自然に歩は進んでいく。
どこまで進んでも寒空の
こんな寒い日にわざわざ外に出るのは私しかいないのか、それとも
ただ、私はどこまでも白いキャンパスを歩き続けた。
そして、彼は居た。真っ白なコートに身を包んだ彼は、いつものように時計をチラチラ見ながら待っていた。
――――。
彼は一瞬驚いたように振り向き、私に気づくとその顔に満面の笑みを浮かべて、私の名を呼んだ。
「ユキ」
その
白絵具《しろえのぐ》 みぺこ @mipeco-12
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