うんこ漏らして一発逆転
大雲 小太郎
第1話完結
俺は朝の支度を終え、会社へ向かう電車に揺られていた。
郊外に住んでいる俺は会社まで電車で2時間かかる。
腹がユルい俺は家を出る前に30分かけてうんこする。
今日ももちろんしてきた。
だが、そのときは何の前触れもなく突然やってきたのだ。
ぶりょりょりょーーーーろおおりょりょぶりょ、りょ?
ぶりょりょんりょん♪ぶぴー
いきなりの脱糞である。
音もデカけりゃニオイもすごいし大量だ。
大量なのだ。俺自身感心するくらい大量に出たのだ。
思わず「大量に出ちゃった…」とつぶやいたほどだ。
どうやってもごまかしようがない状況。
現実逃避にふける妄想。
ヤバさとは裏腹に大量に出たので気分上々。
ラップの韻を踏んでしまいたくなるくらいには焦っていた。
どうしよう…?
このままでは社会的に死んでしまう…!
俺は考えた。考えまくった。ごく短時間にほどよく濃密に考えた。
そうだ!人に罪をなすりつけよう!
「あ、こいつ、うん…あれ?」
ラップの韻を踏んでる間にもうすでに周りから人は遠ざかっていた。
ダメだ。この作戦はダメだ。
この異常な状況で普通に考えてはダメだ。
逆だ。逆に考えるんだ。
うんこ漏らしてないこいつらが異常なんだと。
俺は勝利宣言することにした。
「はっ!いまどきうんこも漏らしてないなんて人として半人前だな!」
「あれー?今の流行りってうんこ漏らすことなんだよ?知らないのー?」
高らかに宣言してやった。
まわりは明らかにドン引きしている。ふっ勝ったな。
俺は勝利者だ。堂々としていればいいのだ。
うんこがなんだ。ちょっとクサくて汚い物体に過ぎない。
なんだ。納豆と変わらんじゃないか。たいしたことない。
そのままうんこをまき散らしながら会社へ向かう。
道中、「なんかクサイ」とか言ってる馬鹿者がいたが気にしない。
俺に家に引き返すなどという軟弱な選択肢はないッ!
だいたいやな、社畜がうんこ漏らしたぐらいで遅刻できるわけがないだろ!
いい加減にしろ!
会社についた俺は一目散にうんこをまき散らしながら上司の元へいく。
上司は「ん?なんかクサくない?あの茶色の物体は…」とか言っていたが
こいつも馬鹿者か。
馬鹿者に俺は新たなビジネスの提案をした。
「うんこ漏らし保険を創設しましょう!」
「うんこ漏らしたくらいで社会的に死ぬのはおかしい!」
俺は熱弁した。
俺が務める会社は幸いにも保険会社だったのだ。
上司は
「いいね、それ!実は俺も今日うんこ漏らしたんだよ!」
「よし!早速社長に提案だ!」
上司はうんこをまき散らしながら去っていった。
俺のニオイでわからなかったがこいつも漏らしていたとはなんてやつだ。
しかし、こいつは馬鹿者ではなかった。
そしてもはや上司ではない。同志だ!
その後、社畜の俺はうんこがついたズボンで自分の席に着席する。
同僚数名があまりのクサさに吐いたが知ったことではない。
社畜の俺はうんこがついたズボンで昼飯に出る。
(うんこがついたズボンを履いた上司、もとい同志も一緒だ!)
隣の客がなんか風味がおかしいとか言っていたが知ったことではない。
社畜の俺はうんこがついたズボンで午後の仕事もバリバリこなす。
うんこがついたズボンで来客の対応ももちろんこなす。
取引先のお偉いさんが眉をひそめていたが知ったことではない。
社畜の俺はうんこがついたズボンで帰宅する。
電車はもうお手の物である。知ったことではないのである。
社畜の俺はうんこがついたズボンで家につく。
妻にこっぴどく怒られた。
さすがに知ったことではないでは済ますことができなかった…
そして、うんこが付いてないパジャマで眠りにつく。
うんこが付いてないってやっぱり素晴らしい。
スヤスヤである。
後日、提案したうんこ保険は売り出されバカみたいにクソほど売れた!
みんなうんこの恐怖と戦っていたのだ。
もうあの社会的に死ぬ恐怖と戦う必要はないのだ!
歓喜の声がこだまする!うんこハレルヤ!ハレルヤ!と。
今日も日本のどこかでうんこが漏れる音がする。
しかしもう何も気にしなくていいのだ!
なんせうんこ漏らしてお金がもらえるのだから!
みんなうんこ漏らしまくりである。やっぱり保険て大事だね!
テレビでも取り上げられ世界でも画期的な保険であると絶賛された!
この社畜でうんこたれの俺がこんな社会貢献ができるとはッ…!
そして、まさかまさかである、ついに発案者の俺は国民栄誉賞を頂戴することになったのだ!
授与式に臨む俺。
こんなに名誉なことはない。さすがに緊張する。
厳かな雰囲気の中、総理大臣から賞状を授与されたそのときである…!
ぶりょりょりょーーーーろおおりょりょぶりょ、りょ?
ぶりょりょんりょん♪ぶぴー…
お わ り
うんこ漏らして一発逆転 大雲 小太郎 @ababa
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます