セブン・シスターズ ~僕はこの世界に期待しすぎている~
七詩のなめ
第1話 プロローグ
何処までも広がっていそうな青空。空気はほんのりと暖かく、春の到来を徐々に感じさせてくる。
そんな清々しいまでの今日の朝。僕は一枚の大学の不合格通知を片手に死んだ魚の眼で空を見上げていた……。
「フッ……分かっていたことではあったけど。やっぱり現実は辛いな」
人間というのは期待する生き物だと思う。絶対に失敗したと思っていても心の何処かではもしかしたらなんて考えちゃったりしてる。別にそれが悪いことだって言うわけではないけれど、そういうことをしていると痛いしっぺ返しを喰らうものだと、前もって教えてほしいものだ。
僕は終わってしまったことに見切りを付けるために不合格通知をクシャクシャにしてポケットに突っ込んで教会の中に入ろうと足を進める。
でも、その足はすぐに止めざるを得ない状況へと変わってしまった。
「…………」
「…………」
人間は――主に男子は――期待する生き物であると同時に特殊な出会いを求める生き物でもあるとさっきの言葉を訂正しなければならない。
親方! 空から美少女が! だったり、敵対関係の異性と急に恋人のふりをしなくちゃいけなくなったり。そういうのを求めてしまうのだ。
なら……そういうことなら。目の前に鎖やら手錠やらでぐるぐる巻きにされた幼女が現れたとしよう。さて、諸君らならどうしますか?
A.とりあえず無視っとく。
おい待て、なんでそんな目で見られなきゃいけない。だって、明らかに事件じゃん! これ絶対事件じゃん! そんなのに巻き込まれたくないよ!?
これでぐるぐる巻きにされているのが同い年くらいの美少女なら話は別になるのだが、どのみち不思議ちゃんとの交流はご遠慮したい。
かと言って、敷地内でこのままにするのもどうかと思うが……。
「…………どうしよ」
ちょっと触れてみるか? し、死んではいないかもだけど念のため……。これは生死の確認だ。決して如何わしいことではない。僕に限って小さい女の子が好きだなんて事実は存在しない。
僕は自己暗示のようにそう念仏を唱えながら幼女の方へ向かう。そして、幼女の前に立つと、恐る恐る右手の人差し指を近づかせて……。
チョンッ。
幼い子特有の柔らかいほっぺに触れた。それが発端になって、幼女はうるさそうに唸るとそっと目を開いた。
状況判断のためか少し辺りを見回してから、髪色と同じ燃え盛る紅の炎のように美しい瞳が僕を捉えた。
あっ、と。小さい声が驚きとそれ以外の何かの感情を
「見つけた……」
ギュッと、手錠で両腕を拘束された状態で僕の手を掴んだ幼女は目を輝かせながらそう言った。そして、何の力が働いたのか幼女の周りに炎が
その現場を声も出せずに見ていた僕に、全ての枷を外された幼女はこう言い放った。
「私と契約して魔女になりなさい」
有無を言わさぬ選択肢皆無で上から目線の命令はもちろんのこと僕の口をへの字へと変えた。
何処までも広がっていそうな青空。空気はほんのりと暖かく、春の到来を徐々に感じさせてくる。
そんな清々しい今日の朝。僕は一人の幼女と出会った。話をしてみれば契約をして魔女になれと言う。
けれど、僕は……。
「僕、男なんだけど……」
「……え?」
これが僕、
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