ディーラー

Shenna.J

プロローグ「エンディング」

白と黒で統一された、誰がどう見ても高級なマンションの一部屋。

その部屋には、部屋に似合うような、似合わないような女がいた。





黒のドレスを身に纏い、

白のケープを肩に羽織り、






真っ赤な髪を揺らしている。





真っ白な肌に軽くピンクのチークを載せた頬を一つだけこの部屋の主に見せ、

黒に近い赤、血の色の唇を薄く開き、

口の端をにやりと上げ、


とても寒い寒い日の森の中にある、大きな池に張った氷のような冷たさと、危険な香りを持った声で、




囁く。




——いけ


彼女の隣にいた黒のスーツに身を包んだ男は、自分のボスからのセリフを命令として受け取り、部屋の主に襲い掛かる。


それまで静かに、冷静な面持ちで姿勢よく両手を膝の上に乗せていた、白いシルクドレスの部屋の主は、膝の上、机の下に隠していた、キラリと光に反射する物を構える。


彼の手が彼女の首に触れる。

彼女の手が彼の足へ向かう。

二人の動きが止まる。


胸を張り、への字の口をしたサングラスを掛けた、黒スーツの男共が男の肩と腕を掴む。荒い息の、部屋の主がゆっくりと、ナイフを引っ張る。


赤毛の女の唇の色が部屋に散る。そして、その口がもう一度開く。


「…契約一つ完了」

氷が張っている冬の池の目を、部屋の主に向ける。

そして、にやりとする。







*この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません

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