第14話

全力逃走( 水中ステージ込み )を敢行して島渡りを始めてからまる3日。


マラソンは嫌いだけど、血反吐を吐きそうになりながらも息が上がり切るまで移動をし、へとへとになるまで移動した。


最初の1日はフルマラソンなんぞやった事のない自分にはキツかった。


幸い、島の周りは比較的浅い海に囲まれていたようなので、思ったよりもすんなり泳いで辿り着くことができた。


まあそれでも水深約5mの中に居続けたりするのは最初はかなり不安だった。


人間だったら生身で経験しようがないことだったからね。


ダイビングなんてそうそうできやしないもん。


そりゃもう不安を払うために必死こいたもんですよ。


多足水底ジャンプの新感覚なんて無かったんや。


あぁ〜^もう泳ぎたくないんじゃあぁあああぁ”あ”あ”あ”ぁ”あ”〜


しかも、普段なら喜ぶべきであろう人間様との邂逅も頑張って避けた。


誰とも会話できないのは耐えられないが、カニミソendの可能性をこうむるのはノーセンキューなんだよなぁ…。


船っぽいの見つけるたびにヒエッたよ。


おかげでそう離れてないところに港町が存在する可能性を得たけどこれ、役立たずですよね。


そんな訳で俺はあくまで船は目安としながら、人気とかが無さそうな海岸を目指して移動した。


欲を言えば俺より強いやつは全部スルーしたいがそんな便利な技なんかないので、せめて船に乗ってるようなやつらからは距離をとって上陸した。


まともな陸(ショバ)の空気はの空気はうまいぜ。


その日はもうメンドいので適当にそこらへんに穴掘ってそこで寝た。


あの怪物からおそらくは逃げ切れた安心感故か、普段なら気になる空腹にさほど阻害されずに眠れた。



〓〓〓


朝になった。


腹減った。やべぇよやべぇよ…。


腹減りすぎると気持ち悪くなるけど、なんかそれすら超越してなんだか食えそうなものが目についたら襲ってしまいそうだ。


甲殻類だからこんなことになってるのかね?


今こそ客観的に捉えられているが、早急な解決が必要なのは間違いないだろう。


穴から抜け出して周りを見る。


何もねぇ。


よし、陸の方に進むか。


海岸でうろつくより山の中でやっほうが港のやつらに見つかることは少ないだろうからな。


ガサガサガサガサ、ガサガサガサガサ



200メートルぐらい進んだが、ロクなもんが無いな。


花びらモグモグ。


もっとなんか満足出来る食物が欲しいよ。


こんな花やら木じゃなんか駄目みたいだ。


鉱石なんて早々みつからんだろうし…。


とにかく進むしかないか。


あ、そうだ( 唐突 )。川とかも探さなきゃ。


水の確保が出来なきゃまた海の方に戻んないといけないからな。


ガサガサガサガサガサガサ、ガサガサガサガサガサガサ、ガサガサガサガサガサガサ


ま、マズイ。

そろそろなにかしらの動物にあってもいいのに。


ってか、俺かなり五月蝿く動いてね?


………。


俺は未来に生きる。


コソコソ、コソコソコソコソコソコソコソ


…ネズミ、か?


数時間の探索の末に、なんかよく分からんが既視感のある尻尾を見つけた。


記憶と違ってかなりLLしてるが、まあ俺も甲殻類なのにバランスボールぐらいデカいからノーコメントで。


すごくファンタジーだと思った( 小学生並みの感想 )。


こっちに気づいてないかのように、なんか鼻をふんふんさせながら尻尾をふりふりさせている。


恨みはないが、これも生きるためなんでな。悪く思うなよ。


跳躍で届くかどうかの距離を測りながら、慎重に近づく。


よいしょっと!



…ちょっと嫌な音と感触が生まれたが、仕留められたか。


昔はこんなんできなかったけど、これも俺が成長したってことでいいのかなー。


ていうかネズミ君はクチバシ付きか。


やっぱ進化の仕方やら生態系は地球のやつとは違うというのを実感させられるね。


血の匂いで厄介ごとを招かないためにも今ここで早く食べてしまおうかな。


終わったら返り血もあるから一旦海に戻るべきかもな。


では、いただきます。



あ〜やっぱり生臭ーいが、食えんほどではないな。


食べる物が違うと肉の匂いとかも違うってことなのかね?


あのクソトカゲどもはもっと色々ネズミ君を見習うといいよ。


とりあえず内臓はやめて手足の方だけいただく。


さらなる生臭さと御対面したく無いし、早くこの場を離れたいからね。


肉食動物がもしこの食った後を見つけたたら少しは時間稼ぎになるかもしれんしな。


歯の丈夫さに改めて感謝しながらどんどん肉を胃に入れていく。


うむ。モリモリ食ったら気分が落ち着いてきたな。よしよし。


人間の頃の意識とか持ってなかったら、多分この甲殻類の体は餌をもとめて暴れたんだろうな。


これも転生の利点ってやつかね。


これからもネズミ君を狩れればいいかも知れないが、そう上手く行かないと仮定してもっと別の食物とかさがさなきゃな。


さあ、さっさとこの場から離れるか。


とりあえずは体を洗うために海の方に戻ろう。


海の方にはあんまりいたくないからなるたけ早く川を探して近くに拠点を作りたいなー。


体を洗ったり、水飲んだり水を使った訓練が出来るし更に奥の方に進めるようになるから頑張ってさがさなきゃ。

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蟹に、なりたいね(目指すとは言ってない) 甲冑類 @kawasaw

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