主人公のレオンは聖ベルナンド王国の第一王子。彼は二つの秘密を持っていた。
一つは実は別世界からの転生者で前世の記憶を持っていること。そして彼の本当の母親が、正妃シェリルではないこと。
そんな微妙な立場の彼だが、ある日、食器の銀のスプーンが黒く変色したのを見て、何者かが毒を使って自分の命を奪おうとしたことを知ってしまい……。
このレオン、転生者だが、これといって特別な力は持っておらず、年齢に似合わぬ頭の良さぐらいしか長所はない。
そんな彼が犯人を見つけるために調査を開始するのだが、その結果、あまり触れられたくない王家の秘密にどんどん切りこんでしまい、ますます命を狙われるはめに……。
設定はなかなか重く、ドロドロした人間関係に気が滅入ったりもしそうなのだが、本作はレオンの明るい性格と語り口もあって非常にリーダビリティが高い。
登場人物もレオンを側で助けるメイドのフィーナや、わけありの宮廷道化師ゲイルなど個性的な人物ばかりが揃っている。
終盤に向かうにつれて、真相だと思っていたものが二転三転する展開も小気味よく、軽い気持ちで楽しめるライトミステリーだ。
(必読!カクヨムで見つけたおすすめ5作品/文=柿崎 憲)
本作を一言で表すならば、俺YOWAI系主人公の、汗と努力と涙と友情と愛の物語です。
異世界転生物ですが、主人公は一介の非力な少年として生を受けます。主人公のチート要素はその国を治める王家の第1王子として生を受けた事と、『普通の大人並の知力』だけ。それ以外の特殊能力・超能力は全くなく、一介の少年として必死になって、次々と巻き起こる難事件と格闘を繰り広げます。
また本作の事件の真犯人達は、狡知に長けた、人並み外れて悪質・悪辣なタイプばかりで、そのせいで強烈な緊張感が作中全体に漂っています。しかし、主人公を含めて、明朗で愛嬌たっぷりなキャラクターが数多く、本作に独特の色彩を加えていて、とても魅力的な物語に仕上がっています。
そして推理物として見ると、本作は安楽椅子探偵物ではなく、1つ1つの証拠を足を使って調べ上げ、慎重に証言を集め、それを元に徐々に事件の核心に近付いていくという警察・刑事物です。しかも、かなり骨太な作りです。刑事物が好きだという方に、本作はとてもお薦めです。
とにかく、異世界転生俺TUEEE系に辟易している方は必読!
そんな貴方にピッタリの異世界転生物です!
個人的にはメイドの女の子への攻略が胸熱でしたね! (そこかよ)
(=゚ω゚)ノ
それはそれとして、まず特筆すべきは、リーダビリティの高さです。この物語は12万字あるそうですが、まったく分量を感じさせません。
テンプレートで通じる情報を駆使し、無駄な説明が適度に省略されていると思いました(作者はなろうのテンプレにあまり詳しくはないので、これは勝手な意見かもしれませんが……)。転生の設定や毒薬の知識、あるいは解剖学(死体検分?)の知識など、話のテンポを阻害しそうなお話を軽やかに飛ばしている。語り手が転生した日本人であるがために、その価値観は受け入れやすく、語り口からはハイファンタジーに見られるとっつきにくさが抜けているーーそうした器用な書き方がなされているように感じました。察するに、作者様は「Web小説の書き方」を熟知した方なのだと思います。
異世界転生というと主人公の無双をイメージしますが、この物語はそうひたイージーゲームとは一線を画していると思います。めくるめく暗殺の罠、次々と訪れる刺客、そして牙をむく意外な人物……その渦中で、主人公レオンは逆境にめげずに真相を明かしていくのです。「はいはいトラックトラック」なんてあらすじからは想像しにくい胸熱要素のある物語だったように思います。
そしてミステリーとしては、予想を覆され続ける展開が素晴らしいと思います。いい意味で人間不信に陥りそうな予感。大事なことだからもう一度、「いい意味で」です! ネタバレになるので深くは触れませんが、私はあのサイコさん結構好きですよ!
素晴らしいアイデア。
計算し尽くされた展開の軽快なテンポと、明かされる真実への絶妙なアプローチ。
誰よりも大切な『母と弟』のために、何より自らの命を守るために、見た目は子ども、しかしてその実態はオッサン王子・レオンが王家の暗部に迫る!
少しずつ味方を増やし、余裕で王位継承紛争を解決できるかと思っていたレオンに、最悪の危機が訪れた。信じがたい裏切り。しかし、家族を守る決意のレオンとパパりんたちの奮闘により、暗殺は未然に阻止!
レオンを貶めていた噂の真相は?
マーサを王に従わせていたものは?
すべての謎が解かれたとき、レオンは犯人をも救う。
そして、涙の大団円。
それから5年。
自ら創った学園で事件が起こった!
何故?
再びレオンの謎解きが始まる。
頑張れレオン、負けるなレオン!
ハラハラドキドキの、手に汗握る幾多の対決。
皆さんも、奮闘する王子を応援しましょう!
あ、もう王……ゲフンゲフン! み、水を……くださゲフン!