ピーク時の忙しさでいえば、右に出るものはいないのではないか、と思える大衆向け飲食店のお仕事をテーマにした作品。まさに目が回るような、と形容すべき忙しさならではのスピード感が文章で表現されており、素直にすごいなと思った。
さらに目を引くのは、そんな目まぐるしく変わる状況を描きつつも、食材が踊り、輝き、キラキラとした料理に変身する過程が丁寧に描写されていることだろう。
実際に食べているわけではないのに、口の中に香ばしく味わい深い感動が広がる。
読む食事、とはこういうことか!とハッとしつつ、刺激された胃袋が鳴くのを感じた。
飲食店の厨房は、戦場だという。
だから共に戦う仲間は、同僚であり戦友なのだ。
今後、さらに描かれるであろうこの店の人間関係も、ますます期待できそうだ。