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概要
医者じゃない。剣も振るわない。それでも、言葉で命を救う。
文政六(1823)年、長崎・出島。
オランダ語の通訳を家業とする「阿蘭陀通詞」の名門・今村家に生まれながら、家督を継げない次男坊、今村伊織。18歳の稽古通詞の毎日は、荷揚げ場で積荷の数を数えることばかり。
そんな伊織の前に現れたのは、片言の日本語しか話さない、背の高いオランダ商館医のヨハン・ヤンセン。
「イオーリ、コレ、ナニ?」
けれど伊織の耳は、師の言葉に混じる、かすかな「違和感」を聞き逃さなかった――。
「動脈」と言っても伝わらない漢方医。
「字に失礼です」と訳語を斬り捨てる唐通事の娘。
「通詞は訳すだけだ。言葉を足すな」と叱る堅物の上役。
正確に訳すか、伝わるように訳すか。
一語の訳し方で、人の生死も、国の行く末も変わってしまう。
杉田玄白、大槻玄沢、宇田川榕菴、最上徳内、そし
オランダ語の通訳を家業とする「阿蘭陀通詞」の名門・今村家に生まれながら、家督を継げない次男坊、今村伊織。18歳の稽古通詞の毎日は、荷揚げ場で積荷の数を数えることばかり。
そんな伊織の前に現れたのは、片言の日本語しか話さない、背の高いオランダ商館医のヨハン・ヤンセン。
「イオーリ、コレ、ナニ?」
けれど伊織の耳は、師の言葉に混じる、かすかな「違和感」を聞き逃さなかった――。
「動脈」と言っても伝わらない漢方医。
「字に失礼です」と訳語を斬り捨てる唐通事の娘。
「通詞は訳すだけだ。言葉を足すな」と叱る堅物の上役。
正確に訳すか、伝わるように訳すか。
一語の訳し方で、人の生死も、国の行く末も変わってしまう。
杉田玄白、大槻玄沢、宇田川榕菴、最上徳内、そし
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