概要
六百年後の学者を困らせたい。その一心で、僧侶は存在しない仏典を作った。
南北朝時代。京の外れの寺に、ひとりの変わり者の僧侶がいた。
名は円秀。仏典にも漢籍にも通じ、書画の腕も確か。そんな彼が、ある日ふと思いついた。
「今から何百年も後の学僧どもが、わしの書いた経を読んで首を捻ったら、さぞ愉快であろうな……」
かくして、後世の人間を困らせるためだけの、壮大な悪戯が始まった。
意味ありげで何の意味もない説話。七本腕の奇妙な菩薩。もっともらしい注釈書に、架空の弟子たちによる教義論争。
暇潰しにしては、あまりにも手が込んでいる。
そして六百数十年後の現代。
古寺から発見された未知の仏典『仏説七臂妙楽経』をめぐり、研究者たちは大真面目に議論を重ねていた。
「失われた仏教思想の系譜では?」
「未知の宗派が存在したのかもしれない」
「……単なる悪戯だったんじゃな
名は円秀。仏典にも漢籍にも通じ、書画の腕も確か。そんな彼が、ある日ふと思いついた。
「今から何百年も後の学僧どもが、わしの書いた経を読んで首を捻ったら、さぞ愉快であろうな……」
かくして、後世の人間を困らせるためだけの、壮大な悪戯が始まった。
意味ありげで何の意味もない説話。七本腕の奇妙な菩薩。もっともらしい注釈書に、架空の弟子たちによる教義論争。
暇潰しにしては、あまりにも手が込んでいる。
そして六百数十年後の現代。
古寺から発見された未知の仏典『仏説七臂妙楽経』をめぐり、研究者たちは大真面目に議論を重ねていた。
「失われた仏教思想の系譜では?」
「未知の宗派が存在したのかもしれない」
「……単なる悪戯だったんじゃな
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!六百年越しの壮大な悪戯に、現代の学者たちが大真面目に挑む!
もしも、何百年も前の僧侶が「未来の学者を困らせてやろう」という、ただそれだけの理由で偽の仏典を作っていたら?
本作は、そんな馬鹿馬鹿しくも愉快な発想から始まる歴史コメディです。
南北朝時代、暇を持て余した僧侶・円秀は、後世の人々を困惑させるため、存在しない仏典をでっち上げます。
七本腕の菩薩、意味深に見えて実はくだらない説話、さらには架空の弟子による注釈書や批判書まで。
その凝りようは、もはや悪戯というより一大事業。
そして六百数十年後。古寺から発見された謎の仏典を前に、現代の研究者たちは大真面目に議論を始めます。
「失われた仏教思想なのでは?」
「未知の宗派が存在したのでは?」…続きを読む