概要
身分を裂く夜霧の中、二人だけの透明な嘘が重なった。
大正十五年、賑わいと怪しい熱気に満ちた銀座。カフェー『白夜』で女給として働く安原すずは、自由民権運動で収監された父を持ち、己の足で生き抜く強い意志を抱いていた。そんな彼女の前に現れたのは、華族二条家の若き当主・二条清正。冷徹な佇まいの裏に、深き孤独と軍部からの重圧を隠す清正と、すずは夜毎、硝子ペンで秘密の文を交わし互いの魂を寄せ合っていく。だが、時代の奔流と身分の壁は容赦なく二人を引き裂く。すずの父の再検挙、そして清正に迫る政略結婚。彼女を守るため、清正が選んだ「あまりにも残酷な嘘」とは――。大正の落日に咲いた、切なくも誇り高き純愛譚。
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