概要
旦那様、あなたの恋敵はあなたです
「お前を相手にする男など、紙の上にしかいない」
文通ばかりしていると笑われて、婚約を破棄された一月後。私は、元婚約者の上司で従兄にあたる〈冷酷公爵〉ゼーヴェリン様と、三か月だけの契約結婚をした。
初夜に差し出されたのは、契約書が一枚。
「これは契約だ。三か月たてば、君は自由になる」
けれど第七条で、私の目が止まった。夕食は毎晩、共にとること。
「最悪の一日にも、温かい夕食を一つ数えよう。友人に、そう教わった」
それは三年前、私が顔も名も知らない文通相手に書いた、母の口癖だ。
三年間、何でも話せた紙の上の親友。その人が、目の前の旦那様だった。
なのに旦那様は、私の手紙の束を見て眉間に皺を寄せる。
「その男より、俺のほうが近くにいる」
その晩に届いた手紙には、こうあった。〈妻
文通ばかりしていると笑われて、婚約を破棄された一月後。私は、元婚約者の上司で従兄にあたる〈冷酷公爵〉ゼーヴェリン様と、三か月だけの契約結婚をした。
初夜に差し出されたのは、契約書が一枚。
「これは契約だ。三か月たてば、君は自由になる」
けれど第七条で、私の目が止まった。夕食は毎晩、共にとること。
「最悪の一日にも、温かい夕食を一つ数えよう。友人に、そう教わった」
それは三年前、私が顔も名も知らない文通相手に書いた、母の口癖だ。
三年間、何でも話せた紙の上の親友。その人が、目の前の旦那様だった。
なのに旦那様は、私の手紙の束を見て眉間に皺を寄せる。
「その男より、俺のほうが近くにいる」
その晩に届いた手紙には、こうあった。〈妻
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