概要
貧しき天才・樋口一葉が、生涯ただ一度の恋に宛てた、冷徹なる「絶縁状」。
明治二十五年、東京・本郷菊坂の「ドブ底」と呼ばれる貧民窟。父の遺した莫大な借金を背負い、針仕事で食いつなぐ二十歳の樋口夏子(のちの樋口一葉)にとって、小説の師・半井桃水は暗闇を照らす唯一の光だった。しかし、二人の清廉な関係を、世間は「泥沼の醜聞」として容赦なく引き裂いていく。
士族の娘としての高慢なプライド、そして師への狂おしいほどの恋慕。引き裂かれる心のなかで、言葉の天才である彼女が選んだのは、本音をすべて冷酷な言葉で覆い隠した「偽りの絶縁状」だった。
手紙の「行間」に隠された少女の絶叫と、それを知りながらも彼女を『作家』にするために突き放した師の、哀しくも美しい決別の夜を描く歴史文学ノベル。
士族の娘としての高慢なプライド、そして師への狂おしいほどの恋慕。引き裂かれる心のなかで、言葉の天才である彼女が選んだのは、本音をすべて冷酷な言葉で覆い隠した「偽りの絶縁状」だった。
手紙の「行間」に隠された少女の絶叫と、それを知りながらも彼女を『作家』にするために突き放した師の、哀しくも美しい決別の夜を描く歴史文学ノベル。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!にごり絵、たけくらべ。それを生み出したただ一度の切ない恋。
樋口と半井の関係は、すごく切なくて、私もいいテーマだなと思っていました。
樋口が貧困や母親の関係に悪戦苦闘するなかで、唯一の光と言ってもよいのではないかと思います。
実際、妾に望まれることもあったほどの器量でしたから、浮いた話がないのが不思議なぐらいですが、それは一葉の孤高にして、気高い覚悟によるものでしょう。こと、半井との関係に際しては、危うい線をなぞっていた。
これが、汀さまの作品から滲み出ています。
この経験がなくては、樋口が夭折しても、世に残る名作を生み出した、そんな甘くて切なくて、もどかしい雰囲気を、存分に楽しめそうです。
汀さまの作品の中で、これが一番好きかもしれません。
まだこ…続きを読む