概要
海辺の喫茶店で、嘘つきのきみと過ごした四十五日間。
海辺の喫茶店「汽水」で働く十七歳の相原悠は、父を亡くしてから泳ぐことも高校へ行くこともやめていた。
雨の日、店に駆けこんできた少女が夏のあいだだけ働きたいと言った。夏川凪と名乗った彼女は帰り際に振り返った。
「私、嘘つきだから」
コーヒーを飲めない凪のために牛乳を温める朝が、悠の日常になっていく。凪に連れ出された夜の学校で隣の席に座り、月明かりのプールで久しぶりに泳ぐ。店の落書き帳には二匹の魚が描かれ、夜明けの汽水域では二人が並んで浮かんだ。
凪の首には銀色のストップウォッチが下がっている。彼女が悠を測ったのは、一度きりだった。
八月三十一日、朝八時。夏が終わる朝、二人は開店前の喫茶店で会う約束をした。
悠は向日葵の花束を抱えて待った。
彼女は来なかった。
——彼女が来ていたことを知る
雨の日、店に駆けこんできた少女が夏のあいだだけ働きたいと言った。夏川凪と名乗った彼女は帰り際に振り返った。
「私、嘘つきだから」
コーヒーを飲めない凪のために牛乳を温める朝が、悠の日常になっていく。凪に連れ出された夜の学校で隣の席に座り、月明かりのプールで久しぶりに泳ぐ。店の落書き帳には二匹の魚が描かれ、夜明けの汽水域では二人が並んで浮かんだ。
凪の首には銀色のストップウォッチが下がっている。彼女が悠を測ったのは、一度きりだった。
八月三十一日、朝八時。夏が終わる朝、二人は開店前の喫茶店で会う約束をした。
悠は向日葵の花束を抱えて待った。
彼女は来なかった。
——彼女が来ていたことを知る
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