概要
「山も、都も、わらわのものじゃ!」
父上が死んだ。
その日のうちに、妾は旅に出ることにした。
行き先は土佐。会ったこともない兄上のもとへ、父上が遺した文を届けるためである。それだけの用事のはずだった。
供は口うるさい忠明と、要領のいい清綱。おまけに勝手についてくる図々しい烏。拾った猪にはなぜか乗れる。
だが追ってくるのは、藤原時平の手の者だった。
理不尽である。妾は何もしておらぬのに。
それでも妾は、紅姫じゃ。父上の娘じゃ。
――千年後、若杉山のふもとに小さな稲荷が祀られている。
そこに紅姫という少女がいたことを、知る者は多くない。
その日のうちに、妾は旅に出ることにした。
行き先は土佐。会ったこともない兄上のもとへ、父上が遺した文を届けるためである。それだけの用事のはずだった。
供は口うるさい忠明と、要領のいい清綱。おまけに勝手についてくる図々しい烏。拾った猪にはなぜか乗れる。
だが追ってくるのは、藤原時平の手の者だった。
理不尽である。妾は何もしておらぬのに。
それでも妾は、紅姫じゃ。父上の娘じゃ。
――千年後、若杉山のふもとに小さな稲荷が祀られている。
そこに紅姫という少女がいたことを、知る者は多くない。
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