「幽霊を見た」という単純な話ではなく、同じ光景が立場によってまったく違って見えてしまうところがおもしろい。幽霊だと思っていた人影の正体が判明した瞬間、安心できるはずなのに、そこで終わらない。むしろ、それまで何気なく読んでいた「前を歩く女」の存在が一気に不気味なものへ反転します。偶然の行き違いが最後まで噛み合ってしまう構成が印象的です。
夜も眠ることなく、流れ続ける川。眠らないから、集まるのです。どうしても。いろいろなものが、いろいろな目的で。小さな生き物、大きな生き物、など。川岸という1つの場面で、登場するものは限られているのに。味わう恐怖は二転三転。そもそも、なぜこの怪異は生まれたのか。言い伝えの内容と、最後のひと言の意味を想像すれば。悲しさも味わえるかもしれません。贅沢なホラー短編、ぜひお読みいただきたいです。
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