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やらかしに気づく&怪談でも

やってしまっていました。

拙作『異世界アイテム無双生活』の第126話 「一度女の身体に入った液体を飲む男」と第127話 「唐突に始まる推理展開」に同じ文章を載せてました。

まあ結局のところストーリーよりもその中ででのドタバタコメディを楽しむタイプの物語なので、それほど問題はなかった……と思いたいところです。

それにしても我ながらなんというタイトルをつけてるんでしょうね。

さてこれだけではなんなので、一つ怪談でも。



「私って東北出身なのよ」

 A さんはこのチェーン店特有のバカでかいカップを置くと、朗らかに言った。

マッチングアプリで「面白い怪談を聞かせてくれる人を募集します ! 」とふざけた書き込みに反応してくれた彼女は季節外れの長袖を纏っていた。

彼女が二十年ほど前のお盆、他の親戚とともに本家の豪邸に集まった時のことだ。

まだいたいけな少女だった彼女は、大広間での宴会を他の親戚の子ども達と抜け出して走り回っていた。

そしていつの間にか見慣れない女の子と二人切りになっていたのだという。

「ねえ、トランプしよう」

その子がそう言ってカードの束を差し出した。

動き過ぎて少し疲れていた A さんはすぐに頷いて、二人は大きな仏壇のある部屋でババ抜きをする。

途中、何度か大人が様子を見に来て少しだけ驚いたような顔をするが、何も言わずに帰っていく。

「スイカ切ったからおいでー ! 」

ちょうど勝負がついた時、伯母さんの声が聞こえた。

スイカだって ! 行こう ! と A さんはその子に声をかけてドタドタと畳の上を走り出す。

「あんた、座敷童と遊んでたね」

ニコニコと伯母さんが言う。

何言ってるの、とあの子を探すが周りでスイカを頬張る子ども達の中にあの子はいない。

「あんたは一人でトランプを並べて遊んでたんだよ。きっとあんたには座敷童が見えてたんだね」

 なんだか釈然としないが A さんは、そんなもんか、田舎だし、と自分を納得させた。

「座敷童って家に幸福をもたらすって言うじゃないですか。だから私も宝くじでも当たるかなって思ったんですけど……」

 それ以降、 A さんのご家族には不幸が連続した。

 だが本家は相変わらず繁栄しているそうだ。

「後から別の親戚に聞くと、何年かに一回、うちの親族で不幸が続く家が出るんですって。そしてその度に本家は事業が成功したり、土地に高速道路が通るからって高額で売れたり……」

  A さんはこのチェーン店特有の食べきれないほど大きなパフェにスプーンを伸ばした。

「あの時、私たちはババ抜きで遊んでて……私、負けちゃったんですよね。もしかしたらあの時……ババだけじゃなくて本家の不運みたいなものも押し付けられちゃった気がするんですよ」

 ニヤリと彼女が嗤う。

 私は急に尿意を憶えてトイレに行く。

 席に帰ると残っていたのは空のカップと空のパフェの器と伝票。

 そしてトランプが一枚、裏にしてテーブルに伏せてあった。

 私はそのカードをめくることなく、帰った。


「本当にあった怖い後書き」

「私って東北出身なのよ」

 A さんはこのチェーン店特有のバカでかいカップを置くと、朗らかに言った。

マッチングアプリで「面白い怪談を聞かせてくれる人を募集します ! 」とふざけた書き込みに反応してくれた彼女は季節外れの長袖を纏っていた。

彼女が二十年ほど前のお盆、他の親戚とともに本家の豪邸に集まった時のことだ。

まだいたいけな少女だった彼女は、大広間での宴会を他の親戚の子ども達と抜け出して走り回っていた。

そしていつの間にか見慣れない女の子と二人切りになっていたのだという。

「ねえ、トランプしよう」

その子がそう言ってカードの束を差し出した。

動き過ぎて少し疲れていた A さんはすぐに頷いて、二人は大きな仏壇のある部屋でババ抜きをする。

途中、何度か大人が様子を見に来て少しだけ驚いたような顔をするが、何も言わずに帰っていく。

「スイカ切ったからおいでー ! 」

ちょうど勝負がついた時、伯母さんの声が聞こえた。

スイカだって ! 行こう ! と A さんはその子に声をかけてドタドタと畳の上を走り出す。

「あんた、座敷童と遊んでたね」

ニコニコと伯母さんが言う。

何言ってるの、とあの子を探すが周りでスイカを頬張る子ども達の中にあの子はいない。

「あんたは一人でトランプを並べて遊んでたんだよ。きっとあんたには座敷童が見えてたんだね」

 なんだか釈然としないが A さんは、そんなもんか、田舎だし、と自分を納得させた。

「座敷童って家に幸福をもたらすって言うじゃないですか。だから私も宝くじでも当たるかなって思ったんですけど……」

 それ以降、 A さんのご家族には不幸が連続した。

 だが本家は相変わらず繁栄しているそうだ。

「後から別の親戚に聞くと、何年かに一回、うちの親族で不幸が続く家が出るんですって。そしてその度に本家は事業が成功したり、土地に高速道路が通るからって高額で売れたり……」

  A さんはこのチェーン店特有の食べきれないほど大きなパフェにスプーンを伸ばした。

「あの時、私たちはババ抜きで遊んでて……私、負けちゃったんですよね。もしかしたらあの時……ババだけじゃなくて本家の不運みたいなものも押し付けられちゃった気がするんですよ」

 ニヤリと彼女が嗤う。

 私は急に尿意を憶えてトイレに行く。

 席に帰ると残っていたのは空のカップと空のパフェの器と伝票。

 そしてトランプが一枚、裏にしてテーブルに伏せてあった。

 私はそのカードをめくるかどうか迷ったが、そのまま帰った。

 後日、その店は火事を出して潰れたそうだ。

 それがそのカードのせいなのかどうかはわからない。

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