ノベルアップ+の「代々木怪談コンテスト2024」に合わせて、一年ぶりの新作をお届けいたします。
昨年、賞の選考に残らなかったので、生朗読の選出があるのをすっかり失念していたのです。
今年の6月末に「終ワラセ/ナイ/ト」をYoutubeの怪談生朗読で136(イサム)さんに朗読されたことを、管理人の彼岸さんから教えてもらいました。
自分以外の表現方法で具現化された作品が、見知らぬ多くの方がたに向けて発信され、自身のフィールド以外で広がりゆく。
そのさまは、言い表せないほどの高揚感と、別次元の感動がありました。
うれしかったなぁ。
見てくれて、評価してくれるかたは確かにいるんだ、と胸が熱くなりました。
味をしめて、昨年に引き続き同じ公募に出すために今作を仕上げました。
打ち終えた時点で8千字を超えていて、規定の7千字に収めるのに削除しまくったんですけど、昨年にやった2千字以上を削るよりは容易でしたね。
前回、これでもか、とブチかましのテイストだったので詰め込み感がすごくて、正直なところ、やっちまったなぁの反省があったんですけど、今作は緩めの展開で、すこしは自分なりのテイストを出せたかなと思えます。
不穏、正気の基準のズレ、魂と肉体の変化が、自分の思い描くホラーにあります。
生きものすべてに同じ条件があるとすれば、生体に閉じ込められた魂は望みもしないのに否応なく『老い』という変化を強制的に与えられるわけで、これはこれで変身系ホラーやなぁ、と思うわけです。
人生折り返しを超えた頃から、周囲の見る目も、与えられる環境も、必然の死を自覚する年齢から変わらざるを得ない生きかたも、リアルホラーじゃんって、ひしひしと感じます。
自ら望んで育て上げた、愛すべき闇から生まれた今作。
奇しくも、東京日本橋で開催された「行方不明展」とかぶる内容になりました。
プロット自体は、この展覧会に行く前に完成していたんです。
でも、見に行ったことで深みというか、現実感が増した……かな。
読んでくださったかたのなかで、なにかが心に残るようであればうれしいです。
そして三度ひそかに願う、136(イサム)さんの朗読!!!
あのお声をイメージして、今回はゆったりめの展開にしあげました。
昨年度の反省で、視点のスイッチ(語り手の交代)はしないように心がけました。
怪談とかいいつつ、結局小説の書きかたになってしまっているんだよなぁ。
カイダン、ムズカシイネ……。