現在カクヨムコン11に参加している『ケツァルの預言者』について、歴史ものという関係上裏話・解説が必要な部分がいくつかあります。
web小説として、本編は背景事情を詳しく知らなくても読めるよう心がけております。しかし、テオティワカンに関する知識がある方や関心のある方向けに、近況ノートでそうした小話を載せていくつもりです。
◆第2回:本文に使われている言語について
テオティワカンは、文字の記録がほとんど残されておらず「何語が主に使われていたか」が不明です。しかし、多民族が住む大都市であったことを鑑みて、少なくとも交流があったことがわかっているマヤ文明の言語、マヤ語は使われていたと私は推測しています。
よって、文献を読んでも単語として出てこなかった用語(「集合住宅」など)は、マヤ語および現代マヤ語であるユカテコ語に訳して表しています。
なお、神々の名前や一部地名には、トルテカ語も用いています。トルテカ語はアステカ文明を築いた人々の主要言語ですが、アステカ文明とテオティワカン繁栄期には時代に隔たりがあり、両者の言語体系が全く同じとは思えません。
しかし、都市名「テオティワカン(=トルテカ語で“神々の座”の意)」をはじめ、テオティワカンの重要語句の多くはトルテカ語に由来します。テオティワカンが都市として成立していた時期に、現地の人が自身の住むまちを「テオティワカン」という名で認識していたとは考えにくいですが、かといって別の名前にしてしまうと、いち読者としてはわかりにくくて仕方ありません。
ということで、「テオティワカン」「ケツァルコアトル」などといった有名な固有名詞はそのまま用いています。極力リアリティを目指しつつも、web小説としてのわかりやすさを担保するための措置としてご理解いただければと存じます(なお、本文中では「テオティワカン」という表現はなるべく使わないようにしています)。なお、下記具体例にはユカテコ語のスペルを添えていますが、これの読み方がわからずにGeminiのお世話になりました……ユカテコ語ムズカシイ。
具体例:
・ノホチ・ナハ(nojoch naj )[ユカテコ語]
主人公の双子たちが住む集合住宅、「大きな家」の意味。平屋のアパートのような建築物である。かつてはすべての部屋に住人がいた(百世帯ほど)が、少子化が進み現在は三十人ほどに減少している。かつての住人が残した見事な壁画が各部屋に描かれている。産婆や老婆などの存在が、ムルク・イツァエに大きな影響を与えた。
また、ケツァルコアトルと呼ばれている神は、マヤ神話だとククルカンという名で呼ばれています(文献を調べた限り、完全にイコールの性質を持っているわけではなさそうですが、「ケツァルの羽毛が生えた蛇の姿をしている」という共通点から同一視されることが多いです)。テオティワカンでもこちらの呼び名を使っていた可能性が高いと個人的には考えています。しかし、本作では「ケツァルコアトルと(鳥の)ケツァルの関係性が重要な意味を持ちます。(鳥の)ケツァルはケツァルという呼び名が一番普及していると思いますので、神の名前もケツァルが入った「ケツァルコアトル」という名称に統一している次第です。
『ケツァルの預言者』
――滅びゆく大都市と、隠された双子の運命が交わる歴史ファンタジー
https://kakuyomu.jp/works/822139840721939357カクヨムコン11参加中です!
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※イラスト:水涸木犀作