カクヨムを離れて久しいが、アワードを回収するために年に数回ログインしている。最近は生成AIによる高頻度投稿が問題になっているらしい。
商業で小説を書いていると、生成AIの急速な進歩にどう対抗するか、ということがしばしば話題になる。ただ現時点でAI小説が僕よりも面白いとは思えないので、これに商業的に敗れる心配はしていない。締切のほうがよほど不安だ。
もちろん技術は日進月歩なので、
(1) いずれ僕よりもAIのほうが面白い話を書けるようになり、
(2) その事実が社会に認識されることで、
僕の仕事が失われるのだろう。
この (1) と (2) の間は相当に長い。AIの進歩に比べて、読者の認識はずいぶん保守的だからだ。そしてその間にほとんどの仕事はAI化されるだろうから、僕だけが失業する心配はあまりない。
みんなの仕事がなくなれば「人間は仕事をしない」という前提の社会が再構成されるだろう。どんな社会でも多数派に属していれば、そこで迫害される不安はない。だからこそ少数派には積極的なケアが必要なのだが。
そういうわけで、僕はAIが加速的に進歩する未来をポジティブにとらえている。ただ問題はそういう未来ではなく、半端なAIが質ではなく量で目立っている現在である。これから才能を見出されるべき若者が、こうしたAIに埋もれてしまうというのは、さすがに僕としても受け入れがたい。
カクヨム運営の皆さんにおかれましては、見出すべき才能が意味出される環境をうまく維持できるように、どうかお願いいたします。
それにしても、僕がカクヨムを使っていたのは生成AIの影も形もない頃だが、その頃も「あいつは複垢を使って自分の小説に高評価を押している」と根拠もなく言い出す人が跋扈していたもので、運営もその対応に追われていた印象がある。こういう強烈な自我のはけ口を運営していく方々には、僕が想像できない種類の苦労がいろいろあるのだろう。頭が下がる。