古都 川端康成著
最近はSFやらAIやら国際情勢やら哲学やら、
そんな本ばかり読んでいたので、たまには古典(正確には古典ではないが)でもという気持ちで手に取ってみた。
中編の小説だが、一気読みするほど惹き込まれた。
京都と言う唯一無二の街、情緒ある寺社仏閣、めぐる季節、数々の祭り…
京ならではの多彩なカードを繰り出しながら、登場人物が生き生きと動き出すさまは小説の醍醐味そのもの。
昭和36年から37年にかけて新聞に連載され、37年に初版された本なので、「何を今さら」なのだが、これをもっと前に読んでいなければならなかったと
痛感した次第。
ぜい肉をそぎ落とした流麗な情景描写は、映画よりも映像的で情緒的だ。
登場人物の置かれた立場や心情が、その描写と微妙にリンクしているところも、いかにも伝統的な日本文学らしい。
作者あとがきにもあったが、これが睡眠薬漬けの中、朦朧として書いたとはとても思えない。巻末解説で綿矢りさ氏が指摘していたことが当たっている。
ストーリーは「えっ、これで終わりなの?」という唐突な終幕。
伏線どころか、物語の幹や枝葉がほとんど回収されていない。あとは各自想像してね、という感じなのだろうか。物語の途中で投げ出された感が強い。しかし、そのぶん余韻がことさら強く残った。
それにひきかえ、自分の作品は「説明しすぎ」「解決させすぎ」だと改めて反省した。ここが難しいところだな…。