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【読書ノート4】西洋の敗北

エマニュエル・トッド著 大野舞訳

現代の世界情勢を独自の視点で分析している著作。トランプ大統領の再登板やロシアのウクライナ侵攻など信じられないような出来事が起こっている背景を、時に厳しい言葉で明快に解き明かしている。
産業革命以降、世界を支配してきた西洋(欧州と米国)が今やプロテスタンティズムの「ゼロ状態」に陥ってしまい、それが現代に起こっていることの根底にあると断定している。社会学の古典でもあるマックス・ウエーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」をおぼろげに思い出してみると、確かに今の西欧の国や民衆の行動はプロテスタンティズムの倫理感を喪失していると思わざるを得ない。「今だけ金だけ自分だけ」という風潮がそうだ(日本も例外ではなく、著作の中では西欧の一角に位置付けられている)。
ウクライナ侵攻については、ロシアへの経済制裁が効果を表さず、逆にロシアが経済成長しているという現状は、制裁を加えている列国に与しない国が多数存在していることを裏付けていて、その中心たる西洋はもはや敗北していると論ずる。ウクライナが「善」でロシアが「悪」、世界は協力して「悪」のロシアに対抗しているという構図が、世界の中では普遍的でないことに衝撃を受けた。
世界は一筋縄ではいかない。歴史や宗教も含めて複眼的に見つめていかなければ本質は分からないと痛感させられた。
「心貧しきものは幸いなり」-本の後半で紹介されていたこの言葉が印象に残った。

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