ここにきてようやくタイトルにある「諸行無常」に触れようと思います。無常という言葉そのものは物語序盤から何度も出てきています。
仏教トピック28「一切皆苦」、仏教トピック23「諸法無我」と合わせて仏教が説く3つの大切な真理として「三宝印」と言われたりもします。
諸行無常とは、この世のものは常に変化しているという教えです。これだけを聞くとごく当たり前のように聞こえますが、人は無意識的に物事は変化しないと思い込んでいます。
話はややそれますが、科学の世界においても物事が変化し続けていると考えるようになったのは意外と最近のことです。
19世紀にダーウィンは進化論を唱えて、生き物は長い間に姿形を変えてきたと説きました。それまでの世界観では生き物は誕生以来姿が変わっていないと考えるのが当たり前でした。
20世紀なり、相対性理論により時間はどこでも一定ではないということが示唆され、ビッグバン理論や膨張宇宙論により宇宙の姿も過去から今にかけて変化してきていると考えるようになりました。
人は自分が見ているこの瞬間が永遠に続くのだと無意識的に思い込んでいて、それを動機としています。
ましてや自分が生まれる前のことや、自分が見ることのできない遠い場所のことは想像すらできないので無意識的に変わらないだろうと思い込んでしまうのだと思います。
しかし、実際に世界は一定ではないということが科学的にも証明されてきて常識になりつつあります。仏教は2500年前にそれを見抜いていました。
仏教では主に自己の内面に焦点を当て、心と体は常に変化するものであると説いています。
自己が恒常的ではなく、変化するものだということを受け入れることが仏教の第一歩であり、欲望や執着によって常に心が掻き乱されるからこそ、心の静寂を保つために日々心と向き合い修行をする必要があると説いています。