黒周ダイスケ

ここはどこで、俺は誰だ。全てが分からないまま、それでも、生き延びるために俺は動く。何もない、この世界で。

四方を山に囲まれた地方都市。出たくても出られない狭い町。けれど彼女は一人で消えた。なぜ消えたのか。どこに行ったのか。様々な噂が広まる中、残された者達もまたそれぞれの想いを露わにす…

夏が海を知った。あの事件から後。青空。正しい夏。波音。水平線。島。花火。夏に生きる人々。いちめんのひまわり畑。白ワンピースの少女。水着。夏祭。海が……呼んでいる。

（“小説家になろう”の企画「書き出し祭り」投稿作より転載）「ずっと寝ていられたらいいのに、とあの子は言った。 ずっと起きていられたらいいのに、と私は言った。そうしたら、実際、その…

人の心の深層を映す謎の白い気球。あいつは、それが「メル・ギブソンに見える」と言った。

一度なってしまったものは元には戻らない。なんだってそうだろ。

（過去作『冬の海浜にすさぶ』リメイク・Pixivより転載）1998年12月。冬の浜に打ち上がった少女は、自らを死に損ないの人魚と名乗った。第一発見者の“俺”は彼女を餌付けし、二人…

親でも兄弟でもない誰かのために、誰でもない誰かのために涙を流す――それが彼女の生業。ある夏の日を描く短編。

生まれた時はみんな雄。成人するとみんな雌。それが自然の摂理。人類の仕組みはタラバエビ。そういう世界の物語。

少女達の集団失踪。そして帰ってきた“四分の一”の少女。生き残り、地獄は終わった。けれども、それはまだ続いている。

夏の山。晴れた空。青々とした水田。きらきらと光る小川のせせらぎ。夕立に降られ雨宿りをした古いバス停。いちめんのひまわり畑。白いワンピースの少女。いつか約束をしたあの場所。夏。

1999年4月。閉店間際の喫茶店に現れた少年。“役目”を果たそうとする彼に、匿う女はとある想いを投げかける。ある春の宵を描く短編。

1998年9月。突然やってきた季節外れの転校生。何気ない普通の日々を、少し変わった二人が紡ぐ。秋の日常を描く短編。

1998年12月。誰も居ない浜辺。モノクロームの景色の中で、二人は出会った。とある冬の日々を描く短編。

『使用する兵器は有人機のみとする』長年にわたる戦争において、命の大切さを顧みるために締結された条約。けれど戦争は終わらなかった。そんな中で開発された“完全自動有人機”。そして一人…

1999年8月。世界が終わらなかった夏。出会った二人の女。山の奥深く。そこにあったもの。十年前の記憶。願い事。夏の一日を描く短編。

調査地区“トゥエルブ”、異常現象“アノマリー”、次々と投入される実験動物“カナリア”。 誰も、何も分からない。ただ、彼ら、彼女らが語ったこと。それだけは、事実としてそこにある。

東京の端に位置するベッドタウン、町田市。その特徴から、神奈川県町田市などと揶揄されるその街には、秘められた宿命があった。ここは東京最前線（フロントライン）――東京都、町田市。