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『歴めろ。』第八十三話のうんちくコーナー

●平良のうんちく

 とうとう藤原氏長者が分裂し、『五摂家』の前身が出来上がりました。
藤原家は日本の歴史と共に歩んできたと言っても過言ではありません。しかし同族同士の政争は絶え間なく続き、誰もがテッペンの『氏長者』を目指してました。
 もちろん官位も必要ですが、何より『有職故実』に詳しいことが必須条件です。藤原忠平、藤原道長等、歴代の『氏長者』は『有職故実』の第一人者なのです。
 しかし近衛基実が早世したことで、口伝も含めた藤原家氏長者として継承すべき『有職故実』が絶えてしまいます。一部を伝授されてたのは弟・松殿基房(まつどのもとふさ)だけだったのですが、事ある毎に別の弟・九条兼実(くじょうかねざね)と正否を争います。
 基房は当初、後白河院とも清盛とも上手く付き合っていましたが、もともと清盛は支援している『近衛家』基通を正統な後継者とみなしていたので徐々に疎まれ始め、ついには大宰権帥に左遷されます。途中で出家したことで罪を減免されました。
 『玉葉』の中で、兼実は基房を辛辣に批判してますが、学問については敬意を払ってたようで、基実の孫・近衛家実や兼実の孫・九条道家は基房のもとへ、しばしば教えを請いに行ったようです。
 基房の没後、松殿家自体は衰退しましたが基房の『有職故実』は以降の『五摂家』に受け継がれていきます。

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