●平良のうんちく
定家の家の庭にあった立派な枝垂柳を、後鳥羽院が召し上げるという事件がありました。
定家はこんな歌を詠みます。
『道のべの野原の柳下萌えぬあわれ嘆きの煙くらべに』
これを見て後鳥羽院は大激怒し、定家を院勘、つまり殿上差し止めの処分にします。なぜ後鳥羽院の勘気に触れたのかというと、この歌には菅原道真の本歌があり、
『道のべの朽ち木の柳春くればあはれ昔としのばれぞする』
路傍の朽ち果てた柳の木も春が来たなら、昔は美しく芽吹いたのにと懐かしむのだろう……配流された道真を定家が自身に喩えた為、後鳥羽院は恨みを言われていると受け取ったのです。
蜜月だった二人の仲が、だんだん離れていくエピソードのひとつですね。。。。