●山科花桜梨のうんちく
今回も私がご案内させていただきます。
式子内親王の歌の指導者は定家の父親、俊成だと言われています。内親王の為に『古来風躰抄』という歌論書まで書いています。
俊成は歌については『幽玄』を唱えています。奥深い趣や味わいのある歌を好んでいたようですね。その影響なのでしょうか、
白露に風の吹きしく秋の野はつらぬきとめぬ玉ぞ散りける 文屋朝康
この透き通るような流麗(りゅうれい)な歌から、式子内親王の『玉の緒よ……』が連想されます。
そして内親王は、色々な歌から言葉と意味を折り重ねていく定家の神髄『有心(うしん)』……人の命や心情も大事にしています。
『玉の緒よ……』の歌が長く愛されてきた理由の一つに、俊成の『幽玄』、定家の『有心(うしん)』が巧く融合されているからなのでは、と思う私です。。。。