告白するがハウスのいちごを食べたことがある。いわゆる盗み食いってやつだ。
古葉をとったりする手入れでは収穫のコンテナを持って入らないので、不意の事故でいちごを落としてしまったときに回収しようがないことがある。
間違えていちごの茎をちぎったり振動で落としてしまったり……
「うわっ! あー、やっちゃった」
というのもたびたびのことで。わたしっておっちょこちょいだね、うん。
この時は6センチを超える大きくて真っ赤ないちごを落としてしまった。もったいない、捨てるの超もったいない。すると間髪入れず先輩から声が出て飛んでくる。
「食べ!」
「えっ、た……たべ???」
なんか人によってはミスったものを証拠隠滅で食しているらしい。知らんかったわ。
えー、あ、いや。でも食べるって、ハウスの中で仕事中にいちご食べるってなんだかすごい抵抗が……
うーん。
でもどうしよう、このいちご。
周囲を見渡し覚悟を決める。よし、だれも見てないな。右よし左よし。
大口をあけてパクり。
「ふむふむ」
盗み食いしたいちごはとても甘かった。