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誠に僭越ながら 私 アイドルを始めました

新作
「誠に僭越ながら 私 アイドルを始めました」
を掲載いたしました。

短編連載でジャンルは【SF×アイドル】ものです。


~あらすじ~

「ただいま」

2520年。夏。
少女の「ただいま」に昔の記録を揺り起こされた私はつい身構えてしまっていた。
【あはは…】
もうあの頃違って少女も成長したというのに…私はまだ彼女が少女であり続けることを望んでいたのかもしれない。
【…どうされたのですか?】
気を取り直して、玄関に迎えに行くと私は少女に尋ねた。
十年以上聞き続けた「ただいま」から少女の機嫌を探ることなど容易い事であるが、今日の「ただいま」の次に繰り出された言葉は全く予想できないものであった。

「————私、アイドルになる」

脱ぎ捨てられた靴。ポトリと床に落ちた帽子…。
どこか懐かしいその光景の先にあったのは山吹の陽を浴びながら、汗を流し、濡れた吐息を漏らす15歳の少女。
家庭支援用AIである私の主、星連(ほしつら)アイはそう宣言された。
【アイ…ドル?】
・・・かつて世を魅了し、圧巻し、白熱させ。羨望、希望、願望‥と見る者全ての〝望み〟を懸けられた存在———アイドル。


その在り方は孤高という一縷(いちる)の流星。
一人(ひとり)輝き続けるそれは誰の手にも届かない信仰の象徴。

‥その在り方は頂点という人望の構造。
満天の星空からたった一つの輝きを見つける宝探し。

‥‥その在り方は平等に寄せて返す波。
少し足を伸ばせば触れることも出来る蜃気楼(しんきろう)の隣人。

 かくして時代を超えてアイドルの概念は変わった。
いや、本来の意味を忘れられたアイドルは別のものへと形を変えられただけなのだろう。
〝スター〟〝アイドル〟〝アイドルグループ〟〝グループ〟
500年以上の時を過ごした〝アイドル〟は言葉を変え、本来の意味を忘れられた形で存在を続けた結果、いつしか〝偶像(アイドル)〟は死語となった—————。


これは26世紀・AI社会となった日本で少女とAIがアイドルを目指す物語。

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