見つけ出した古い記録。の巻(20/7/11)

 どうも、水々です。すいすいと読むんですが、未だにすいすいで辞書登録していないので「みず」「おなじ」を変換している水々です。

 「終わりの続き」は割と長いこと温めていた企画で(そのわりにプロットもなく毎話毎話いいとこ2話分くらいしか先を作ってませんが、それは生活系という性質上致し方ないかなというところ)、ポストアポカリプスとファンタジーはいずれも私の好きなテーマ! だから融合しちゃおう! という一種安直な着想からきています。

 で、実は昔にメモっていた書き出しが見つかりまして、供養としてこちらに記入しようかと思います。その内容とは……


―――――




 さびしげに風が渡ってゆく。
 小山に挟まれ、少しでこぼこした硬い土の道が、まばらな草花と共にどこかへ続いている。
 かつてあっただろう名前も、今は誰も知らない。青白い月が薄く世界を照らし、微弱な光の粒……魔力蛍(<アエラス>と発音する。生命体ではなく、エネルギーの一種である魔力が粒状に纏まり、空気中に漂っているもの)がまばらに浮遊している。
 風の音と魔力共鳴のごくごく微かな音だけが、この青白い世界に堆積していく。

 いつ、誰が作り、どのように使われていたのかさえ、誰も知らぬ道。
 終わった世界に残された、いつかあった文明の痕跡。

「……はぁ」
 何も息づいていないようにすら感じさせる、あまりにもさびしげな世界にも、しかし命はある。動物が息づき、植物は茂る。まばらな草花をちらと横目で見たその生き物は二本の足で立ち、脚は胴体に接続され、ややくびれがあるフォルムの上端から首と頭。首の左右の先からは腕。――つまり、ヒトである。

 上半身は血の汚れが残るベージュ色のシャツに、草木染らしい、深緑の厚手のジャケット。肩にはえんじ色のケープ。ジャケットとケープも色合いから目立たないが、洗いきれぬ血の汚れや修繕跡がある。

 下半身は太股の半分程度しかないえんじ色のスカートで、さらに少しゆったりした濃紺のズボンを履いている。正確には一体になっているようで、革ベルト一本でこれらを固定しているようだ。

 足には革のブーツ。…このブーツだけ特別造りが良いらしく、しなやかでありながら、素足で踏めば大怪我しそうなとがった石さえものともせず踏みつけていく。

「この先に廃村…使えるものがどうとか言っていたけど、大丈夫かな。…何もないと困っちゃうんだけど」

 声は落ち着いた低さを持ち、澄んでもいた。雌雄でいうところの雌…つまり女性で、若年である。

 わずかに吊り上がった目。小ぶりな鼻。少しだけ長く、少しだけ尖った耳。ぼさぼさと長い、栗色の髪を蔓のようなもので雑にまとめ、背中に流している。

 その控えめな胸部の膨らみをわずかに主張させるように革製のベルト(これもしっかりしたものだ)が左肩から右腰へ斜めに掛かっており、腰ベルトと重なる場所では、金具と革のバンドを組み合わせて両ベルトを幾分かのゆとりをもち接続していた。

 そして肩ベルトの背中側には、胴体よりやや短い程度の筒状のケースがベルトに従って固定されており、両手で握れる柄と、片手用とも両手用ともつかない長さと、持ち主の腕と同じくらいの太さの刃を持つ剣が収まっていた。


(原文ママ。詰まりすぎてたので改行だけ適宜挿入)
―――――

 ほとんど主人公の説明で文章が埋まっていますが、結構詳細に書いていたんですね、私。
 この主人公の姿そのものはアリシアとは違うにしても、ルーツとして結構似てるところがあるというか、あぁ、この遺伝子だな……と書き手としては思うところがあります。

 本編ではいきなり命のやり取りからでしたが、こちらは世界観としていかにさびれているかを強調していて、むしろこちらのほうがよかったのでは? とさえ思うところがあったりします。

 無論、これを利用して今後の文章展開をすることもあるかもしれません。
 実際、世界の荒廃具合としては、アリシアの行動範囲だとはっきりしませんがこういう感じです。

 瓦礫の街の「外」についてはそのうち触れる時が……おそらく割と近くまで来ているので、その時にたっぷりと、しかししつこくない程度に触れようかと思います。

 しかし今しばらく街の中で過ごしそうな気配もありつつ、果たして暴漢に囲まれたアリシアとツロニアはどうなるのか。

 これを書いている段階ではまだ更新していないので、乞うご期待? ご期待していただけているといいな! 期待されるようにがんばるぞ! という具合で、今後も頑張ってゆきます!

 それでは今回はこのあたりで。

 水々でした。

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する