平安ファンタジー小説「錦濤宮物語 女武人ノ宮仕え或ハ近衛大将ノ大詐術」の「六十三 翠令、姫宮について行こうとする」を投稿しました!
https://kakuyomu.jp/works/16816927860647624393/episodes/16816927861200942306今回、翠令は平安時代の女性の衣装を身にまとうことになります。
いわゆる十二単を着ているのです。
この十二単について、私が2022年の初夏に見て来た展示のお話を書きます。
既に終わってしまった展示の話で申し訳ないですが……過去に催された展覧会のカタログでも眺めるような気持ちでお読みいただければと思います。
チラシと資料集の写真をこの記事に掲載しておきますね↓
ざっくりいえば、いわゆる十二単についての展示です。
京都市にある京都産業大学主催で、特別協力に「京都宮廷文化研究所」「井筒企画」の名前が挙がっています。
無料の展示だったんですが、この内容が無茶苦茶濃くて良かったです!
井筒企画というのは、以前からたびたび紹介している「風俗博物館」(時代衣装の行き届いた平安時代のドールハウス)を手掛けている会社です。
↓会社のWebサイトの「井筒グループ」に風俗博物館が掲載されています。
https://www.izutsu.co.jp/京都宮廷文化研究所は平安時代の宮廷文化を研究するところで、特別顧問に所功さんが就いておられます(皇室関係の識者としてコメントされていることが多い方です)。
この「女子宮廷装束の華」展では、風俗博物館で見かける人形からスタートです。
奈良時代から徐々に平安時代の十二単が完成するまでが4体の人形で示されます。ガラスケースに入っていて、その周りをぐるっと歩いて見て回るんですよ!
360度からじっくり見ることができたのです!(風俗博物館の展示だとそうはいかないです)。
そして、このエリアの横には等身大の人形の十二単。
残念ながら背後には回れませんでしたが、大体270度くらいは見られました。眼福眼福。
その奥には、昭和天皇など、実際の皇室で使われた衣装の端切れの展示です。
文様が織り出された布などを見ていると、本当にこれらの衣装は身分の高い人にしか許されないのだなと思います。
これらの展示は手織りのはずですが「これを手作業で織ったのか……」と思うと気が遠くなりそう……。
そして、さらには染められた糸と染色に使われる植物の説明が。
この説明で染織の意外な理由を知ることができました。
以下、展示解説(印刷されたものを資料として頂きました)の引用です。
”草木染には、美しい色を表現するだけでなく、日常生活に密着した理由がありました。草木染に使用される染料の原料は薬草です。そのため、生薬として様々な効能があり、古くから用いられてきました。また、この薬草を染料として使用することによって、虫食いを防いだり、毒虫・毒蛇除けとしたり、病状を和らげたり、殺菌したりすることができました。草木染は、染織の目的とともに、身体保護や保存の効果を求めて行われたのです”
へええ……(物知らずでスミマセン)。
あと、等身大の装束が各種並んでいました。直衣や唐衣などです。
いやあ! 無料で見せていただくのが申し訳ないほどの充実した展示でした!
こうして展示内容は日本に存在しているのですから、今後もどこかで頻繁に同じような展示をして欲しいなと、切に願います。
というか、常設展示とかできませんか……。
女装するようになった翠令ですが、姫宮が呪詛を行ったという疑惑がかかったことで置かれた立場が激変します。
そして、今後は女武人としての真価が試される展開となります。
ここで彼女が踏ん張ることでラストまで話が動きますので、どうか最後までご愛読たまわりますよう。