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典侍の酒の入手先―「錦濤宮物語 女武人ノ宮仕え或ハ近衛大将ノ大詐術」の「六十」を投稿しました!

平安ファンタジー小説「錦濤宮物語 女武人ノ宮仕え或ハ近衛大将ノ大詐術」の「六十 翠令、佳卓と最後に話す」を投稿しました!
https://kakuyomu.jp/works/16816927860647624393/episodes/16816927861141492014

今回のお話の最後の方では、佳卓と何があったのか翠令から聞き出そうと、白狼と朗風が酒を飲もうと画策します。
あてにしているのは、梨の典侍の手持ちの上等のお酒です。

さて。
この時代、お酒はどこで作られているのでしょうか。

有名なのが造酒司です。
大内裏図では、左の中央よりやや右です。「宴の松原」の南西ですね。
過去の近況ノートで「大内裏図」を掲載したものがありますので、良かったらご覧ください。
(大内裏には地図がある!―「錦濤宮物語 女武人ノ宮仕え或ハ近衛大将ノ大詐術」の「六」を投稿しました!
https://kakuyomu.jp/users/washusatomi/news/16816927861782214545

今でもこの場所は訪問しやすいです。
なぜなら、その跡地が京都市立中央図書館や生涯学習センターとなっているからです。
この生涯学習センターに「平安京創生館」という小さなミュージアムが入っています。
この「平安京創生館」、規模はどうってことないんですが、メインの常設展示が平安京の模型。
コレ、日本史の資料集とか、他の文献とかあちこちで使われてるんですよ。皆さまもどこかでご覧になっているはず。その実物がこの「平安京創生館」にあるんです。

この「平安京創生館」のWebサイトのトップにも「平安宮造酒司跡あとに建つ,京都通の隠れた新名所 -京都市平安京創生館へようこそ!」と書かれています。

「平安京創生館」 http://web.kyoto-inet.or.jp/org/asny1/souseikan/index.html

玄関ポーチの前では遺構がある程度見られるようになっています。
「平安京創生館」常設展「平安京造酒司倉庫跡と発掘調査出土資料」
http://web.kyoto-inet.or.jp/org/asny1/souseikan/jyousetsu.html#taiken

とまあ。ここまで造酒司のことを書いておいてなんですが。

平安京にはもう一つお酒に関わる部署があったようです。
「内酒殿」というもので、先に挙げた大内裏図では内裏の東の「釜所」です。
井戸と木簡が出土しています。

京都市埋蔵文化センターの広報(現在はPDF)によりますと……。
( https://www.kyoto-arc.or.jp/news/leaflet/100.pdf )

”嵯峨天皇による役所の新設や配置換えという新策により、酒造りの役所であった造酒司とは別に、この一画に「内酒殿」が新たに配置されました。この役所の目的は、内裏に供する酒を造ることで、そのために他に例を見ない巨大な井戸が作られたのです。ところが、出土した遺物を検討すると、この井戸は平安時代の前期後半には埋まったことがわかり、その頃に内酒殿はなくなったようです。その後のようすが陽明文庫本『宮城図』に表れているのです。”

拙作は、錦濤の姫宮が大陸風の服装をしていたとしていますから、平安時代でも奈良時代に近いあたりをイメージしております。

なので、梨の典侍が持っているのも内酒所から得たものだと想定してるんです……。

典侍も御所のキャリアウーマン。ストレスのたまる職業です。過去の竹の宮の姫君のことばかりでなく、今も日々雑務に追われているのです。そこで、彼女は適度にお酒を嗜んでいる……と思っています。

梨の典侍が抱く悔恨も、これからの話の展開でかなり薄れることになります。
さて、何が起こるのか。
どうか今後の展開をお楽しみになさってください。
最後までご愛読くださいますよう。

今回の写真は酒器の瓶子の写真をWikipediaからです。
メトロポリタン美術館の所蔵品だそうです(画像はパブリックドメインとのことです)。

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