平安ファンタジー小説「錦濤宮物語 女武人ノ宮仕え或ハ近衛大将ノ大詐術」の「翠令、円偉の邸宅を訪れる(二)」を投稿しました!
https://kakuyomu.jp/works/16816927860647624393/episodes/16816927861134096390円偉の邸宅への行き帰りに佳卓は牛車に乗っています。
今回は牛車の乗り方について書こうと思います……と書き出した時点で、話の展開が見えた方も多いのではないでしょうか。
アレです。
「牛車には後方から乗り込み、降りるときには前から降りる」というルールです。
貴族達には常識だったのに、東夷の木曽義仲はそれを知らず、降りるときに後ろから降りてしまいました。
2022年の大河ドラマでも取り上げられたエピソードだそうです(スミマセン、私自身は見てないです。見たいと思っていたんですが、いつかまとめて見ようと思っているうちに夏まで来てしまいました……)。
今となっては「牛車の乗り方」=「後ろ乗り、前下り」はよく知られた話かと思います。
さて。
2022年の春、京都御所の特別公開で牛車が展示されていました。2021年の秋にも見に行きましたが、春は、葵祭仕様に華やかに飾り付けられていました。
今回の記事にも写真を掲載しますね↓。
そして、展示の説明に「牛車の座席の序列」があったのです。
その説明板の写真でも撮影して来ればよかったのですが、残念ながらスマホに見当たりません。
そこで、この記事を書くのに京樂麻帆子さんの「牛車で行こう!」(2017年 吉川弘文館)を図書館で借りてきました!
京都大学の博士号をお持ちで、この本の発行された時点で滋賀県立大学の教授でいらっしゃいます。
(実は私が若い頃にちょくちょく参加していた日本史好きの集まりに、京樂さんもいらっしゃったんですよ。京大の院生でしたが、周囲からも「あの人は優秀だよ」と一目置かれてらっしゃいました)。
この本の121頁に、牛車の座席の序列を示す史料が紹介されています。
それによると「前列右側が一番上席、その左側が二番目、後列左側が三番目、後列右側が四番目」なのだそうです(やや平安時代よりは後の史料になりますが)。
この本。名前だけは存じ上げていたのですが、拙作ではあまり牛車が登場しないし、なんとなく読まずにきてしまいました。
今回、この記事を書くのに借りてきてみると、軽く見えるタイトルや装丁に反して、真面目な内容であり、出典が付され、そして牛車を中心にしながら平安貴族の生活が記され、平安ファンタジーを書くのにとっても役立ちそうな本なのです!
これから再び平安ファンタジーを書くなら、ぜひ手元に置いて資料としたいと思います。
なお、今になるまで読んでなかったので、この本の内容が拙作には反映されておりません。
史実と違っている箇所は「鷲生は勉強不足だなあ」と鼻で笑って「ま、ファンタジーだし」と見逃してくださいませw
史資料の反映度合に難があるとはいえ、ファンタジー小説である拙作はその分自由に物語は広がっていきます。
佳卓の東国行で物語は終盤に向かって動いていきます。
どうか最後までご愛読くださいますよう。