去年になる。
年末の朝、我が子が生まれた。
男の子である。
予定日よりも少し早く生まれて、保育器の中でふにゃふにゃとしている小さな、とても小さな赤ん坊がいた。
帝王切開の手術室の前では、ジャパネットたかたが口腔洗浄器の販売のために、とうもろこしに泥をつけて、それを洗い流していた。
人の気も知らず、呑気なものである。
妻とは、手術の前に少し話をし、ほんの30分ほどで子が産まれた。
子は、肺にまだ羊水が残っているため呼吸が弱く、手術室から出てきたときは、口に呼吸器をつけていた。
問題がなければ、右の通路、心配な状態なら左の通路の先のNICUにいくという。
保育器のケース越しにみる子は、弱い呼吸ながらも懸命に生きていた。そこには何よりも可愛らしい子がいた。
子は左の通路を進んでNICUに入っていった。
それから二週間、まだ子どもには直接会えていない。
窓越しに3回ほど、面会しただけだ。
それでも、日々成長して退院の日も近づいている。看護師さんや医師の方々は懸命に我が子の状態を見て、私たち家族のことを考えてくれている。
一緒に暮らせるようになるのはもう少し先だけれど、どうか健やかに育ってほしい。